シルバージャガーの誕生

「シルバージャガーの誕生」、ピープロ1984


これも、日本映画専門チャンネルの「特撮国宝」ピープロ編で放送されていたもの。VHSでしか発売されなかったもので、テレビ放送はこれがはじめてかもしれない。鷺巣詩郎・現ピープロ社長が、ヤフオクで落としてきたというもの。ピープロの倉庫にはこれはないらしい。

「シルバージャガー」というのは、ピープロがつくった特撮もので、パイロット版だけで実際には放送されなかった。だから映像はこれだけなのだが、見た目の印象は、うる星やつらの「ニャオンの恐怖に気をつけろ」に出てくる猫みたい。これは放送しなくて正解だろうという感じ。

制作当時は存命だった鷺巣富雄へのインタビューのほか、ピープロの歴代作品がちょっとずつ出てきて、これがまたレア。

「レッドシャーク」「カミナリゴロッペ」(ともにパイロット版のみ)「0戦はやと」(OPのみ)、「ハリスの旋風」、「ドンキッコ」、「ちびっこ怪獣ヤダモン」、「マグマ大使」(OP、1話の冒頭部)、「怪獣王子」(静止画のみ)、「豹マン」(パイロット版のみ)、「俺は透明人間!」、「宇宙猿人ゴリ」(パイロット版)、「快傑ライオン丸」、「鉄人タイガーセブン」、「電人ザボーガー」(最終話)、「冒険ロックバット」がひととおり登場。見たことないものが多数出てきて感動。

「0戦はやと」は、主題歌でちゃんと「平和のために」とか言ってる。「俺は透明人間!」は、バカっぽい話に笑う。

この紹介部分をもっとやってくれればいいのに、後は「シルバージャガー」の設定紹介。敵キャラや、敵の宇宙船は出ているのでそれなりに準備はできていたらしいが、設定紹介はほとんど静止画だらけ。しかも、肝心のシルバージャガーは、人間がお麺をかぶっているだけ(人間の目や口が露出)。

1話の大半は撮影が終わっていたようで、そこは映っているが、これが70年代初めならともかく、80年代初めの時点でこんなものがテレビで放映されていたら、失笑必至だ。まるっきり恐竜みたいな敵の宇宙船から、怪鳥みたいな戦闘機が発進とか、スター・ウォーズの後で作られた映像とは思えない。

ビデオ終了後に、このシリーズのお約束で、樋口真嗣鷺巣詩郎の対談が放送されたが、こちらも、ピープロのマット合成は、「なければ描けばいい」という発想とか、マグマ大使の顔を金粉塗りの顔からマスクにしたのは、「海外販売を考えていたので決めた」とか、おもしろい話をいろいろとしていた。

「特撮国宝」シリーズは、かなりおもしろかったので、第2弾をやってくれることを期待。