さらば海底空母イ-401

「さらば海底空母イ-401 幻のパナマ運河大爆撃」、1983


これはめずらしいものを見た。「木曜スペシャル」の1本。「木曜スペシャル」といえば、「アメリカ横断ウルトラクイズ」から、「矢追純一UFOシリーズ」まで何でもやってた放送枠。この番組は、「ドキュドラマ」で、ドキュメンタリー部分とドラマ部分(ほとんど妄想)の組み合わせ。本編の監督は、松本正志、特撮監督は川北紘一

ドキュメンタリー部分は、水野晴郎がナビゲーターで、いつもの笑顔で緊張感皆無のしゃべりをしている。しかし、この1983年時点では、イ400型潜水艦の乗組員は多くが存命で、実際にテレビに出てくるので驚いた。イ401の艦長、艦長は戦争当時33歳だったそうな。後、海上自衛隊に入り、海将補で退官。それから信号長、第一潜水隊飛行長、イ401飛行長、晴嵐の設計技師、晴嵐のテストパイロット、呉工廠の造船部員、イ25でアメリカ本土爆撃を実行したパイロットまで出てきた。今から30年前なので、みなさんお元気だったのだ。

ドラマ部分は、宝田明平田昭彦高松英郎というなかなか豪華なキャスト。宝田明が、イ400型計画の責任者である有泉竜之介大佐、平田昭彦は第六艦隊先任参謀井浦祥二郎大佐、高松英郎山本五十六大将。宝田明平田昭彦が出てくるだけで画面が締まっている。

特撮部分はハチャメチャで、イ400型が大挙してパナマ運河を攻撃し、通過していた空母もろとも閘門を吹き飛ばしたり、ニューヨークを爆撃して、自由の女神は吹き飛び、ニューヨークは火の海、ついでに関係ない富嶽まで登場して、やりたい放題である。晴嵐やイ400型のプロップが小さいし、パナマ運河攻撃はセットがチャチすぎて悲しいことになっているが、パナマ運河が大爆発(閘門破壊による大洪水はちょっと無理だったらしい)していたり、ニューヨークが火の海(今じゃ差し障りがありすぎて無理)とか、見ていてたのしすぎる。

最後は有泉大佐が自決して終わり。物悲しい終わりだけど、水野晴郎が平和は尊いですねと取ってつけたように言って締め。

番組が終わった後で、特撮監督の川北紘一と、この特撮番組シリーズのナビゲーターで川北紘一の弟子樋口真嗣。この対談もおもしろかった。川北紘一は、東宝映像から単身大映に移ってやりたいことをやりまくったそうだ。お金がない特撮もそれなりにたのしいのだ。