華麗なる一族(1974 TV版) 26話

華麗なる一族」(1974 TV版)26話(最終話)


鉄平の自殺後、早苗は子供と一緒に東京に住みたいと主張し、大介も神戸の自宅に住むようにと強く出られない。

問題は、二子の婚約破棄問題。高須相子はなんとしても二子に翻意させて、婚約を元に戻したいのだが、大介はなんと婚約破棄と、一之瀬四々彦との結婚を認めると言い出す。高須相子は唖然とするが、大介は「自殺者を出した家からは婚約を辞退するのが当然」と言って動じない。高須相子は婚約破棄の詫びを入れる仕事を断るので、大介は、美馬中と一子を使いに出そうとする。

美馬中は、さすがにこの仕事は拒否。しかし一子に対して、「新銀行頭取の椅子だって、鉄平さんの血で贖ったようなもの」と言い出すので、一子はさすがに怒る。

銀平は、二子に「自分はニヒリストを気取っていたが、兄さんの死でそれが見せかけだけだとわかった」と言い、婚約破棄した二子を褒める。銀平は、大介と一緒に、大同の三雲前頭取のところにあいさつに行き、鉄平が自殺の直前、三雲によろしくと言っていたことを伝える。三雲は、鉄平の自殺の真因について大介にただすが、大介は「事業を守るためにはできることは何でもしなければならない」と言い放つ。三雲は「人間性を忘れた企業はいつか必ずつまづく」と答える。

二子は、一之瀬四々彦を追ってアメリカに出発。高須相子はその見送りに加わろうとするが、「あなたは他人だから来なくてもいい」と銀平に追い払われる。高須相子は一人ぼっちが嫌なので、東京にある大介の新宅を訪ねて行くが、こちらの家には寝室にベッドが3つということにはなっていない。おまけに大介からは、「東京で生活するからには、これまでのような生活はできないので、名実ともに身辺をきれいにしたい」と言われ、手切れ金を渡される。5000万円と家を渡されて、高須相子はお払い箱に。当然納得がいかない高須相子は、「意地でもお別れしません」と粘るのだが、大介にはまったく相手にされない。結局小切手を受け取って、引き下げるだけ。

銀平は、大介の前で「万俵大介バンザイ!」と叫んだ上で、大介に辞表を突きつける。家も売ってしまい、万俵家から出るつもりなのだ。あらら。

新銀行、東洋銀行の発足披露パーティーの直前、永田大蔵大臣は美馬中を呼んで、次の銀行局長ポストを申し渡す。ついでに「東洋銀行など、うまく行くわけがないし、第一、頭取の万俵大介は問題だらけ。銀行局長としてのきみの役目は、東洋銀行を上位行の五菱銀行と合併させること。」と命令して会場に向かう。

披露パーティーで大介が演説した後、永田大蔵大臣が乾杯の音頭をとる。映画ではここでおしまいなのだが、この後で神戸の万俵家で大介、寧子、高須相子が最後の晩餐をとる場面がある。ここで寧子が、「あなたにもお子さんがあったらよろしかったのに」と一言かますのは映画と同じ。そこに美馬中から電話が入り、翌日関西で開かれる予定の東洋銀行の披露パーティーには出られないと伝えてくる。

最後に寧子は、「私、東京には参りません」と宣言し、「あなたがこれまで私になさったことが許されるのなら、私がここに残ることも許されてもいいでしょう。あなたのお側でこれ以上暮らそうとは思いません」と言い切り、これに高須相子が大笑いしながら、涙が出る。高須相子がひとりで孤独を囲い、頭取になった大介が高笑いしているところに相子のナレーションがかぶっておしまい。


全部見て、細かい追加エピソードや人物はあるが、おおざっぱに言えば、映画の拡大版。というか、映画が時間の都合上切ったエピソードを盛り込んでいる以外は映画と同じ。映画は佐分利信仲代達矢だったのだから、この組み合わせには及ばないが、山村聡加山雄三もあなどれない。特に加山雄三は鉄平の誠実キャラには非常に合っている。仲代達矢とは違う方向だけど、これはアリ。

小川真由美を高須相子にあてて、ナレーションをやらせたのもあたり。小川真由美のイヤミキャラは、京マチ子よりいいかもしれない。他にいいのは、池部良の三雲頭取と、林隆三の銀平。銀平のやる気のなさは、目黒祐樹より林隆三向き。特に、この役はテレビ版の方が出演回数が多くて重要キャラなので。

問題は、長さと美術。映画はいろいろエピソードを切っているが、必要なエピソードはもれなくカバーしている。先に映画版から見ているからそう思うのかもしれないが、あれで十分。こっちは26回もかけて全部盛り込む必要性があったのかどうかがそもそも疑問。「白い巨塔」は、田宮二郎のテレビ版が圧倒的によく、テレビのリメイク版はもちろん、映画版も及ばない出来なのだが。

それから映画版に比べて予算が少ない分、美術にお金をかけられなかったようで、せっかくの「上流階級」の設定がかなり安っぽく見えてしまっている。露骨な合成や、セットの使い回し、セットそのものが非常に小さいのは、映画版と比べた時に全然見栄えがしない。これはもうどうしようもないことなので、片目をつぶって見るしかない。

それでも、2007年のリメイク版のような「原作の大幅な書き換え」をやらずに、きちんとオリジナルを通して作ったのはエライ。日本の昔の映画やドラマのリメイクで成功したものをほとんど見ないので、これは貴重品。