林哲司・半田健人昭和音楽堂 阿久悠のエッセイ「あまり売れなかったが、なぜか愛しい歌」特集

林哲司半田健人昭和音楽堂」 「阿久悠のエッセイ「あまり売れなかったが、なぜか愛しい歌」特集」


リクエストのお手紙の内容が、「阿久悠の特集がないが、大物はやらないのか?」というもの。半田健人のお答えは、「大物は曲がありすぎて、何からやっていいのかわからないからやってませんでした」。

ということで、「阿久悠のエッセイ「あまり売れなかったが、なぜか愛しい歌」特集」である。曲順は、
1 ・ 「ざんげの値打もない」 / 北原 ミレイ (1970年・昭和45年)
2 ・ 「棄てるものがあるうちはいい」 / 北原 ミレイ (1971年・昭和46年)
3 ・ 「酔いどれかぐや姫」 / 南高節とかぐや姫 (1970年・昭和45年)
4 ・ 「真赤な鞄」 / 山本 リンダ (1974年・昭和49年)
5 ・ 「瀬戸内行進曲」 / クリスタルキング (1984年・昭和59年)

阿久悠でも売れなかった歌があるのか、と思ったが、あれだけ書いていればそりゃ売れない歌もあるだろう。ここでかかった歌はすべて知らない歌ばかり。「ざんげの値打もない」は、けっこう売れたと言っている。阿久悠の最初の大ヒットは、「また逢う日まで」なので、この曲は、阿久悠が脚光を浴びる前のもの。

同じ作曲者、編曲者、歌手の組み合わせで、「棄てるものがあるうちはいい」。阿久悠は、北原ミレイのための曲は「商品というより、作品としてやらせてもらえた」と言っている。北原ミレイの歌は、半田健人いわく「絶望三部作」で、ディレクターからいいかげんにしてくれと言われたらしい。今では、レコードにはできないような歌詞。

「酔いどれかぐや姫」は、かぐや姫ではあるが、売れてからのかぐや姫とはメンバーが違い、南こうせつ以外は別。この頃は南高節と書いていた。

「真赤な鞄」は、都倉俊一との組み合わせ。しかし山本リンダとしては非常におとなしい感じの曲で、「どうにもとまらない」からはまったく想像できない。

「瀬戸内行進曲」は、「瀬戸内少年野球団」の主題歌。曲自体は「イン・ザ・ムード」のカバー。歌詞は関西弁という珍妙なもの。映画を見ていないのでまったく想像つかない。

前回、前々回の放送も、実は阿久悠作詞の作品しか流れていない。阿久悠は、「1曲の作詞に2時間以上かけず、それでできない作品は駄作と見なして出さなかった」という。大作詞家は仕事の仕方も違うのだ。