さらば友よ

「さらば友よ」、アラン・ドロンチャールズ・ブロンソンほか出演、ジャン・エルマン監督、フランス、イタリア、1968


これも子供の頃に見たことのある、アラン・ドロン映画。正確にはチャールズ・ブロンソン映画だが。母親がアラン・ドロンのファンでいてくれてよかった。おかげで、アラン・ドロン経由でいろんな役者を見ることができたのだ。

この映画、どこをとってもアラン・ドロンチャールズ・ブロンソンが最高にかっこよく、脚本は完璧、それぞれの場面設定や脇役の隅々まで隙がない。この2人で出ているのはもう1本「レッド・サン」があってそれも好きだが、「さらば友よ」の完成度の高さは圧倒的。

地下室の金庫にドロンとブロンソンが忍びこむところ、つまりこの映画のキモ部分が映画の真ん中に置かれていて、金庫から2億フランを盗み出す計画が空振りになってしまうところから本当のドラマが展開する構成が非常にいい。金庫室でのアクシデントの連続とこの場面でドロンとブロンソンが本当に友になっていくところがていねいに描かれるのだが、この時点ではドラマ全体はなぞのままで、真相は地下室から逃げだした後の場面から徐々に明かされることになっている。

ドロンを引っ掛けて泥棒計画に誘い出す女イザベル(オルガ・ジョルジュ・ピコ)と虫も殺さないような可愛い顔をしたワーテルローことブリジット・フォッセーは、この2人がつるんでいることが終わりの方にならないとわからない。銃を振り回して悪役然としているのはオルガの方だが、本当に悪い奴は可愛くドロンをたぶらかそうとするブリジット・フォッセーの方。そして、ドロンが騙されたように振舞っていて、実は罠を見抜いているところが効いている。

ドロンとブロンソンの友情が全開になるのが、2人が離れ離れになり、ブロンソンが刑事(ベルナール・フレッソン)にガンガンいじめられる場面になっているところもうまい。お互いが知らないふりを続けることが、友情の証なのだ。ラストは最高にカッコイイ。フランソワ・ド・ルーベの音楽が、さらにいい。

非の打ち所のない映画。できれば、日本語吹き替えでまた見たいが。