グロリア(1980)

「グロリア」、ジーナ・ローランズ、ジョン・アダムスほか出演、ジョン・カサベテス監督、アメリカ、1980


この映画はもう何回も見ているので適当に見てやめようと思ったら、結局最後まで見てしまった。また時間の浪費。しかし、最後に見てから15年以上経っているので、映画の中身は新鮮でよし。

ジーナ・ローランズは最初から最後までカッコイイが、子役のジョン・アダムスの妙に棒で、子供っぽいところは子供っぽい芝居が非常に良い。これはキャスティングの勝ち。最初はただのうるさいガキだが、グロリアとの逃避行で着実に大人になっていき、墓の前でグロリアに別れの言葉をちゃんと言えるまでになっている。グロリアのバディだから、ただのガキでは困るのだが、ガキがバディになっていくところがちゃんとつながっている。

ジーナ・ローランズは、表情やら、逃げ足の速さやら、ガンアクションやら、すべてよい。この映画の時点でかなりの婆あなのでとっくにお亡くなりになっていると思ったら、まだご存命だ。1930年生まれなので、この映画の時点で50歳。外人だから実年齢よりも老けて見えるのだろうか。性格のきっつい婆あだが、そこがよい。

そして、一番いいのは、この映画が全部ニューヨークで撮影されていること。地下鉄の駅、ニューアーク、町の風景などなど、ニューヨークにそれほど長くいなかった自分でもわかるところはわかるので、ニューヨークをよく知っている人にとっては非常に心にしみるものがあるだろう。映画のはじめの部分で、グロリアは他の州に逃げようとするのだが、それをジョン・アダムスが断ったおかげで、話はニューヨーク限定で展開。ここもうまい。自分にとっては、ニューヨークの映画といえば、ウディ・アレンよりも、この「グロリア」と「フレンチ・コネクション」である。この映画に映っているキタナイ建物は今も残っているのだろうか。