電人ザボーガー(2011)

電人ザボーガー」、板尾創路古原靖久柄本明竹中直人ほか出演、井口昇監督、「電人ザボーガー」フィルム・パートナーズ、2011



去年公開された「電人ザボーガー」のリメイク映画。評判がよかったので見てみたが、ほんとにおもしろいわ。

青年編と中年編の二部構成になっているところが成功のポイント。青年編の古原靖久は、アクションがキレているし、オリジナル版の山口暁のムダに暑苦しいところをちゃんと再現できている。

そしてΣ団の幹部は旧作通り。ミスボーグだけでなく、アパッチドリルやキングアフリカのようなマイナー幹部もちゃんといる。いちばん心をひかれたのは、ブル・ガンダーがオリジナルそのままの姿で現れたこと。後ろはトラックで運転台だけブルドッグの顔、横から腕が、というこのインパクトは製作者にもじゅうぶん伝わったのだろう。これが大暴れしてくれて、うれしすぎる。

設定をいじってあるのは、ミスボーグが男に捨てられた女の細胞でつくられていて、男に妙な憎しみをもっているという設定。しかもなんの拍子か、ミスボーグは大門さんとデキてしまうのだ。ミスボーグと大門さんのセックスシーンは、エロいようなエロくないようなぎりぎりのところで、ちゃんと何をしているのかわかるようになっている。最後に、ザボーガーはミスボーグと一緒に爆発。これが第二部への伏線になっている。

第二部、中年編は、それから時間がたってしょぼい中年になってしまった大門さんを板尾創路が演じる。板尾は基本的に味のある人だが、笑える部分もシリアスな部分も含めてちゃんと演じられていてさすが。このキャスティングは当たりだ。悪者の権力者の運転手をさせられたり、職安で仕事を探しているところ、糖尿病持ち等々、大門さんも25年もたてばこうなるよねというところをうまく設定に反映させている。

大門さんとミスボーグがデキていたということは、2人の子供がいるということで、それがレディボーグと秋月玄。秋月玄は、大門とミスボーグの子供だとは知らないことになっているので、これをどうやってバラすのか、バラしたことで関係がどう変わるのかということもポイントになるのだが、不自然にならないように、ストーリーが組まれている。

レディボーグが人間体のままで巨大化して町で暴れまわるところとか、大門さんと秋月玄の戦いとか、バトルは真剣に熱い。CGもあまり安っぽくなく、かといってリアルでもない感じできちんとつくられている。ザボーガーがレディボーグを破壊するとことは、実際に泣ける。

音楽は、菊池俊輔のオリジナルを少し編曲して使っているのだが、この新しい歌手の声や歌い方もいいし、なにより第2部では、子門真人のオリジナルレコーディングを使っているところが涙。

自分は「電人ザボーガー」は、リアルタイムで見ていないので、大人になってから再放送で見た組なのだが、それでもこれはリメイクとしてよいデキ仁なっていると思う。監督のオリジナル作品に対する愛も十分感じ取れる。柄本明とか、竹中直人とか、一見ムダに豪華なキャスティングもちゃんと効いているし、渡辺裕之の新田警部はショボイところも含めていい。最後に老人になった大門さんが、トライクに乗っている場面で出てくるのはきくち英一。ザボーガーとその世代の特撮モノに実際に出演していた役者で、今も作品に出られる人はもういくらも残っていないので、これもうれしい。いろんな意味でハイレベルな作品。ホームドラマチャンネルの残りの回を見るのが、またたのしみになった。