ヨーロッパ企画 月とスイートスポット

ヨーロッパ企画 第31回公演 『月とスイートスポット』、アステールプラザ大ホール、2012.11.20


この劇団は小劇場なのに毎年広島に来てくれて、そこそこおもしろかったり、そうでもなかったり、いろいろなのだが、今年も行ってきた。

この劇団の例で、そんなに広くはないスペースを縦に有効利用して、セットの力で広く見せている。美術に上手な人がいるのだろう。ヤクザと香港マフィアがタラタラとトークを繰り広げるという話だが、役者はあまりヤクザっぽくない。コメディーだし、本物っぽくないほうがこの芝居には合っているのでいいんだけど。

ストーリーをうんぬんする作品じゃないので、それはいいが、客はかなり笑っていた。自分には「そんなに笑うところか?」と思えるようなところまで笑っていたので、そういうものかなあという感じ。

それより驚いたのはけっこう客が入っていること。毎年公演があるのだし、広島での公演は1回だけなので、このくらいは来るのかなとも思うが、1階席だけ見ても、8割近くは入っていた。劇団のホームグラウンドではないのに、これだけの客が入るのは大したこと。狂言文楽でも(これよりは一回り小さいサイズの劇場を使っているのだが)、この劇団よりずっと少ない人数しか入っていない。

テレビに出ているような役者は基本、いないので(NHKの「青山ワンセグ開発」があったけど、あれは舞台中継じゃないし、「芸術劇場」も終わっちゃったし)、これだけの人を引っ張れるのは相当なこと。ただでさえ、この田舎では演劇のファンは少ないのだ。まあ、素直に感心する。