赤い糸の女 41話

赤い糸の女」41話


唯美に、「栃彦よこせ」と迫る芹亜。唯美はキレて、ランプを投げつける。
「どうせ、あんたたちはもう破滅でしょ?…夫婦関係も目茶目茶でしょ? 」
「よく言うわね~、目茶目茶にしたのは誰なのよ。 遥香さんにあることないこと告げ口して、そそのかして、農地を取り上げさしたのは誰なのよ! 」
「あたしはただ目覚めて欲しかっただけ」「やっぱりあんたが!」 
「…生活が偽者だって、早く気づいて欲しいと思っただけなの」「勝手なことばかり、よくも!」 
「こういうままごと生活は成り立たなくなったのよ。 竪穴式住居の弥生時代みたいな原始生活なんか、真っ平ですって。お断りですって。 笑わせるわね~。こんなぜんまい仕掛けの蓄音機。子供だましじゃあるまいし。 
・栃彦さんはね~、今頃、テクニカルな再生装置で、CDのシンフォニーを鳴らして、体中べちょべちょに濡れて、痺れてるわよ。 芯からの音楽好きが、こんな前世紀の遺物で満足できるわけないでしょ? あたしは彼を、人並みの俗世界に戻してやるわ、電力いっぱいの物質文明に、Uターンさせてやる。 あんたはあっさり、彼をあたしに譲り渡してくれればいいのよ~。こうして、仁義も通してるんだからさ~。 」
「おっと!それはご法度でござんすよ。 だったらいいわよ?この服に火をつけて御覧なさいよ。悔しいんだったらどうぞ~、火をつけて丸焼きにしたら~? ワーハッハッハッハ!!アーハッハッハッ…!! 」
唯美は完全に爆発して、食器類をぜんぶガラス窓に投げつける。そんなことしたら、娘が起きて泣くだろう・・・。

栃彦は、芹亜の部屋でオーディオセットに入り浸り。土砂降りの雨が割れたガラス窓から、唯美のところに吹き込んでくると、娘が起きてきて・・・悲惨。

一方、小沢真珠は、徳須をベッドに引っ張りこんで、「養子になれ」と迫る。
「こんなもの、この家の養子に来たらまーいにち飲ませてあげるから。 」
「子種だけはつけてあげるよ、それで我慢して欲しいな。 」
「あの女にまだ引きずられてるの~?あんな売春婦上がりの、ダボハゼ女に?! 」
ということで、徳さんはまだ唯美があきらめきれない。

芹亜の部屋では裸になった栃彦が寝ている。その後、栃彦は自宅に帰ってきて、ガラスが割れて部屋がめちゃめちゃなのを見て呆然。しかし・・・。
「金、これだけか?…もらってくけどいいか? 俺はもう精も根も尽き果てた! 」
「誰が糸を精練するのよ?赤い糸は誰が染めるのよ? 」
「俺たちの赤い糸は、切れてしまったんだ。あとは唯美が自分で染めるしかないだろ。 仁奈子、お父さんは、もう駄目なんだよ…お母さんと元気に暮らすんだよ。 」
「チェロは?チェロもって行かないの?…チェロ持って行きなさいよ! 」
「お父さんいってらっしゃ~い。 」
「あたしたちからより遠く、この土地からも遠く、遠くへ。」
というわけで、栃彦、いなくなってしまいました。芹亜にとってもこれは予想外だったらしく、あわてて唯美に電話しているが、もう後の祭り。

その夜、唯美の家に食べ物を持ってやってきたのが、徳さん。あいかわらず脳天気だ。栃彦が出ていったので、唯美が自分になびくと思っているらしい。
「米!うどん、ひやむぎ、…それから冷凍餃子。あ、冷蔵庫ないんだったなこの家は。 ついに来た、我がときはきたれりってね~。 」
「我が時はきたれり 汝のあとあるもの 我は悉く退けんや 」
「俺は昔のカサノヴァだけの男だと思わないでくれ~! 何より、心より唯美を求めてる。 情熱的な飲み口は、まるで唯美みたいだな~、このワインは。 」
「あたしには織物しかないの…そんな営みが永遠に続けばいいと思ってるわ。 」
「織姫だな」「もう姫じゃないけど」 
「織姫だって一年に一回はセックスすんだぞ? 」
「ちょっ、やめてよ。わかってるわね!」
「男と女が変なことしないで何すんだよ! 」
「あなたは昔と同じじゃない、カサノヴァ!(バシャッ) 」
「(ズボッ)いって…。どうなってんだよこの家は~! 」
そこにいきなり現れる徳さんの運転手=韓国人のヴァイオリン兄ちゃん。余計なことするなあ。徳さんはあきらめて帰っていく。

徳須は、貴道家の親族会議に呼び出される。
「綺麗事を言うんじゃない。遥香とはとっくに、男女の関係だって言うじゃないか。 」
「ここに泊まる度に、腰が抜けるほどだってぇ~? 」
「叔父様、およしあそばして!そのお話はほどほどに。 」
遥香に手をつけた以上、男として、この家を引き継ぐ責任がある。いい加減に年貢を納めて、この家の養子に入れ! 」
「麟平、四の五の言える立場だと思っているのか! 」
「土下座するのはあたしですわ~。あたしが麟平さんに土下座したいくらいなんですの! 」
「麟平、結婚するのです、お婿さんになるのです! 」
というわけで、徳須は、養子縁組と入籍の届けを書かされ、高笑いの真珠様。

一方、いしのようこに対しては、芹亜がクビ通告。いしのようこは、徳須の意向を聞くが、芹亜は「所長もクビだと言っている」でおしまい。いしのようこは、徳須の結婚を聞いて、ショックで倒れこんでしまう。
「あたしをクビにしておいて、所長はあの女と結婚だってよ、婿入りだってよ!! たった一つの、残された愛だったのに…根こそぎあたしから何もかも奪っていくんだ!! 崖から突き落とされたのはあたしだけじゃないじゃないのよ!あんたたちだってそうじゃない!! いくら資産家の有力者だからって、旧家の姫だからって、こーんな無体なことばっかり!!! 許さない!あたしは許さない!重ね重ねのこの恨み、呪ってやる! 」
「人を呪えば穴二つって、お母さんもよく言ってたじゃないの。」
「 穴二つだろうが三つだろうがあたしは怖くもなんともない! 」
「母はほとんど狂気の一歩手前…それは、ぴたりと的中してしまったのです。 」

なんかいしのようこが包丁をもてあそんでいるのだが・・・。これはどうなるの?

次回予告。真珠様と徳さんの結婚式に、いしのようこが般若の面をかぶって乱入!明日がたのしみすぎる。