浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか

島田裕巳浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』、幻冬舎新書、2012


日本仏教各宗派の解説本。各宗派の歴史と現況について、簡単な解説がされている。

この本のタイトルに対する答えは、「おわりに」の部分に書いてあり、それは近世になってから浄土真宗が在家仏教として庶民に浸透したから、というもの。創価学会が大勢力を形成している理由も基本的には同じで、現代になってから創価学会日蓮の立場に立ちながら、庶民のための在家仏教として機能していたから。

創価学会はともかくとして、浄土真宗も含めて仏教各宗派は寺檀制度の下で葬式仏教としての性格を明確に出すことで生き残ってきたので、その点では各宗派はほぼ同じような状況にある。ということは、葬儀数の減少、葬儀の簡略化、檀家離れが進んでいけば今の葬式に依存した仏教は先行きは明るくないということになる。

創価学会は互助組織としての面があるから、組織を維持していけるかもしれないが、葬式、法事しか組織維持の機会がない各宗派は現勢を維持していく事自体がむずかしくなる。その先に何があるのかということまではこの本には書いてないのだが、日本仏教は基本的には日本社会の変化にうまく適応できていないし、そこが何とかならない限り、将来は明るくならないということになる。