NHKスペシャル 原発事故調 最終報告

NHKスペシャル」 「原発事故調 最終報告~解明された謎・残された課題~」、NHK総合、2012.8.22


政府事故調の報告書が出た後で7月に放送された番組の再放送。この番組以前に、民間事故調と国会事故調の報告書は手に入れていたのだが未読。とりあえず、この番組でさわりを聞いて、後で読むときに参考にしようという魂胆で見た。

番組の構成は、3つの報告書の内容をビデオで再構成しながら、スタジオでNHKのアナウンサーとディレクターに加え、政府事故調畑村洋太郎、柳田邦男、国会事故調の黒川清民間事故調の北澤宏一の4氏が集まって、報告書であげられている論点についてトークするというもの。

なぜ福島第一原発メルトダウンが起こったか、なぜ避難が混乱したのか、なぜ事前に対策が取れなかったのか、という論点ごとに話が進められている。特にスタジオの関係者の話が重視していたのは事前対策が取れなかった、組織的、構造的問題と今後の課題について。

まあ断片的に見ていたことではあるが、事前に事故対策を何も考えておらず、訓練もシミュレーションもろくにやっていなかったので、地震が来た時には何もできませんでした、というもの。事前に何もしていなかった理由は、JCO事故のショックがやっと落ち着いたのに、これ以上不安を起こすようなことはややこしいのでやめてくれ、という保安院東京電力の馴れ合いによる意図的な無策。

50分で報告書を全部フォローするのが無理なのは当然だが、関係者が一致していたことは「調査はこれだけではまだ足りない」ということ。規制者や電力会社、関係者から独立した機関や組織が権限と人員をもって問題を解明していかないとダメだということ。3つの事故調関係者の間での意見の違いはあまり強調されていなかったが、組織的問題と未解明の事実解明の必要性は3者の間で共有されていた認識だったと思う。

これはやはりちゃんと報告書を読まなければいけない。NHKは、この番組の拡大版をつくって、何度も再放送すべき。危機感がないと何も始まらない。