カーネーション 140-145話

カーネーション」140-145話、第25週「奇跡」

カーネーションも今週でおしまい。というのに、先週の放送をやっと今日見終わったしまつ。最後の週でよかった。そうでなければ、またずるずると見ていない回がたまってとんでもないことになっていたかも。

糸子は通っていた病院で、院長=辰巳琢郎から、院内でファッションショーをやってくれないかと頼まれる。糸子は病院に、奈津=江波杏子が入院していたのを知って驚く。四国に引っ越したはずが、いつのまにか岸和田に戻ってきていたのだ。しかし奈津の性格はあいかわらずで、無愛想な態度、ろくに口も聞かない。

糸子はファッションショーの提案を受けるが、職員だけでなく、患者もモデルに加えることを提案、看護師長は反対するが糸子は提案を押し切る。糸子はショーのためのデザインに熱心にとりくみ、自分と奈津がいっしょに出演することを夢想してデザインを練るが、奈津は知らぬ間に退院していなくなってしまう。

ショーの直前、看護師長の頼みで末期がん患者の加奈子=中村優子をモデルの一人に加えることになる。加奈子は余命幾ばくもないが、子供と夫のために最後にきれいな姿を見せたいと糸子に言う。ショーの当日、糸子はMCをつとめるが、トリの加奈子の番になって、涙で声がでない。そこを看護師長が引き取って、加奈子を紹介する。加奈子は客席に花びらをまく。いなくなったはずの奈津は、そのショーを後ろで見ていた。院長は帰ろうとする奈津を引き止めて、糸子に引き合わせる。


今週は病院でのファッションショーというネタをよく使って非常に盛り上がった。「奇跡」というタイトルが、ファッションが起こす「奇跡」と、命の「奇跡」にちゃんとかかっている。おかげでせっかく登場した奈津がちょっとかすんでしまったが、老齢になった奈津がいきなり糸子と仲良く談笑ということは不自然なので、これはうまくまとめたと思う。渡辺あやはこういうところがうまいな。ショーで、加奈子が出てきて、糸子が紹介を続けられなくなる場面はちょっと泣いてしまった。最終週の前の週に、いきなり登場させた脇役を使って、これだけ話を盛り上げられる脚本家の手腕はすばらしい。最終週を見るのがほんとうにたのしみ。

奈津に江波杏子を持ってきたのには驚いた。この人、まだ生きていたのか。老けてはいるが、気品があって、奈津の老後という役に対して非常によく合っている。1970年代までに活躍した女優で、いまはあまり顔を見ない人はほかにもたくさんいるのだろう。プロデューサーはよく見つけてきたものだと思う。