MET ライブビューイング 神々の黄昏

ワーグナー   「神々の黄昏」


        ジェイ・ハンター・モリス(ジークフリート

        デボラ・ヴォイト(ブリュンヒルデ

        ハンス=ペーター・ケーニヒ(ハーゲン)


        ファビオ・ルイージ指揮、メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱団、ロベール・ルパージュ演出、METライブビューイング



 METライブビューイングの「神々の黄昏」、根性で行ってきた。日曜日だったが、客は20人くらい。まあ田舎の劇場はこんなもんですか。郊外にあるので駐車場がタダ。行く方としては楽である。

ジークフリートと、ブリュンヒルデは「ジークフリート」と同じキャスト。ガンガン声が出ていて安心させられる出来。しかし、この公演で一番よかったのは、ハーゲン役のハンス=ペーター・ケーニヒ。この人は地の底からわきあがってくるようなすごい声が出る。おかげでハーゲンがめちゃくちゃかっこよかった。2幕の「ホイホー」のところはゾクゾクした。とても舞台が締まったと思う。

幕間には出演者のインタビューが入るのだが、グーとルーネ役のウェンディ・ブリン・ハーマ-は、「他にどんな役が歌いたい?」と聞かれて、「ジークリンデがやりたい!」と真剣に語っていた。これまではワルキューレの一人とか、ノルンとか、そういう役だったらしい。たしかに「大勢のなかの一人」から、ちゃんとキャラクターのある役に行けたのだから、次は主役をやってみたいと思うわけね。きれいな歌手なので、ジークリンデがちゃんと歌えれば、たのしみな舞台になりそう。

一番最後の場面は、火がヴァルハラの城に燃え移ると、城の上に石像のようなものが5体立っていて、それがガラガラと崩れ落ちる(もちろんCG)という演出。これもかっこよし。ブリュンヒルデは、実際にからくりじかけのグラーネに乗って、火の中に踊りこんでいくことになっていた。このプロダクションの舞台装置は、非常に自由度が高くて、いろんな場面に応用がきく。6時間近く、長丁場だったがとにかく楽しめた。

次のプログラムは3月後半に「エルナーニ」がかかるようだ。できたらぜひいきたいな。