ジークフリート ファビオ・ルイージ/メトロポリタン歌劇場 METライブビューイング

ワーグナー   「ジークフリート


      ジェイ・ハンター・モリス(ジークフリート

      デボラ・ヴォイト(ブリュンヒルデ

      ブリン・ターフェル(さすらい人)


      ファビオ・ルイージ指揮、メトロポリタン歌劇場管弦楽団

      ロベール・ルパージュ演出

      METライブビューイング

このシーズンから、METライブビューイングが田舎の広島でもかかるようになって、行かなくちゃと思っていたら、もう6曲は終わってしまった。なぜか「ジークフリート」は日程がずれていて、3つの劇場でだけ、いまの時期に公開されていたので根性で見に行ってきた。客は15人くらい。平日の田舎の劇場(上映館の109シネマズ広島って、広島市でも郊外にあるのだ)だから、こんなものでしょう。

ジークフリート役のジェイ・ハンター・モリスは、もともとこの役にあたっていたギャリー・レイマンの代役らしい。若いわー。この仕事につく前は、セントラル・パークで物売りをやっていたと言っていた。いろいろあるのね。しかしルックスは非常にかっこよく、声もすばらしい。ジークフリート向きの歌手だ。ほかの歌手もそれぞれにいいのだが、いちばんよかったのは、ミーメ役の歌手。ゲルハルド・ジーゲル。この演目はミーメがうまくないとぜんぜんおもしろくないのだが、期待に違わぬすばらしい出来。アホっぽいところ、ルックスの珍妙さ含めて、得がたい歌手だ。

演出的には、舞台中央に板を何枚も並べたものがおかれ、それが機械じかけで角度が変わるのだが、その一枚一枚が液晶プロジェクタ?か何かで、映像を映し出すようになっている。例えば、3幕のジークフリートブリュンヒルデの二重唱の場面だと、両端の板は垂直に近い状態になっていて、そこには炎が映っているが、中央に近い部分は水平に近くなっていて、そこには地面が映っている、という具合。

びっくりしたのは、森の小鳥がCGだったこと。歌手は見えない所で声が聞こえるだけ。たしかに小鳥はCGのほうがそれっぽい感じでいいか。歌手のモイツァ・エルドマンは、インタビューで「高いところは苦手なので、宙乗りをしなくてよかった。ははは」と言っていた。

全部で5時間11分(休憩こみ)の上映時間。しかし休憩は1幕と2幕のあいだに15分、2幕と3幕のあいだに10分しかない。昼ごはんが食べられないよ。トホホだなあ。寝ないように、カフェイン入りの液剤を持って行ってほんとうによかった。神々の黄昏はなんとかきりつめて5時間半でやるらしい。これは今週末からの上映なので、また根性出していかねばならぬ。

ほかのプログラムのトレイラーもかかっていたが、グラス「サティヤグラハ」(タイトルでわかるように、マハトマ・ガンジーのおはなし)とか、けっこうおもしろそう。今シーズンは、あと、「神々の黄昏」のほか、ヴェルディエルナーニ」、マスネ「マノン」、ヴェルディ「椿姫」がかかる。けっこう行ってしまいそう。音響がいいし、たのしいわ。