タンホイザー 沼尻竜典/広島交響楽団

ワーグナー   「タンホイザー」(抜粋、演奏会形式)


     福井敬(タンホイザー

     安藤赴美子(エリーザベト)

     小山由美(ヴェーヌス)

     黒田博(ヴォルフラム)


     沼尻竜典指揮、広島交響楽団ひろしまオペラルネッサンス合唱団、広島市文化交流会館、2011.2.24


広響の定期演奏会での「タンホイザー」。演奏会形式だし、抜粋だけど、特別料金なしの定期演奏会でこれをやるというのは、この田舎ではけっこうたいへんなこと。歌手も合唱団も追加の楽員も必要なのだ。このプロダクションは、来月びわ湖ホールほかでやる「タンホイザー」公演との共同公演。なので、歌手はそっちで出る人を引っ張ってこられるのでなんとかなっている。びわ湖ホールでの公演には行く予定なので、いい予習になった。

そして、肝心の出来だが、思っていたよりはるかにいい。広饗もやればできる子。ほとんどとちってないし、楽器はガンガン鳴っていたし、いいわー。沼尻竜典は、びわ湖ホールの芸術監督なわけですね。ここまでまとめているのはたいしたもの。

歌手もたいへんによかった。まあちょっと外してたところもあるけど、それをさっぴいても、よい出来。特にタンホイザーの福井敬は声量はあるし、声質がタンホイザーにぴったり。かっこいい。エリーザベトの安藤赴美子は、お姫様っぽくてよい。小山由美と黒田博もそこそこによかった。

抜粋ということで、かかった部分は、「序曲」、1幕2場のタンホイザーとヴェーヌスの重唱、2幕はじめのエリーザベトの「おごそかなこの広間に」、2幕2場のタンホイザーとエリーザベトの重唱、2幕の大行進曲「歌の殿堂をたたえよう」、その続きのヴォルフラムの歌、タンホイザーのヴェーヌス賛歌とその後のエリーザベトの嘆願、3幕1場のエリーザベトの祈り、「夕星の歌」、「ローマ語り」とそれに続く終曲。

休憩含めて2時間で、この曲の主要な聞き所はだいたいカバーしている。大行進曲のトランペットのファンファーレはめちゃめちゃかっこよかった。この奏者は客演だろうが、うまかった。ひさびさにオペラを聞いて泣けてよかった。来月のびわ湖ホールでの公演がとてもたのしみ。