長靴をはいた猫

長靴をはいた猫」、矢吹公郎演出、東映、1969

これは子供の頃に見て(封切時ではなく、野外音楽堂での上映会だった)、それから学生の時にどこかの映画館でのアニメオールナイト企画で見て以来、ひさしぶりに見た。おもしろい。

原作はかなりいじってあるが、いじり方に無理がなくとても楽しめる。80分くらいの尺だが、ぜんぜん退屈しない。脚本は、井上ひさし山元護久の黄金コンビ、ギャグ監修は中原弓彦小林信彦なので、言うことなし。

一番の見せ場は、後半、魔王の城で魔王のドクロのペンダントを取り合って追いかけっこになるところだが、この場面での魔王の城の構造がとてもよくできている。このお城の仕掛けも脚本の二人で考えたのか?それとも作画監督森康二だろうか。ここのセンスは、アニメの作画に精通していなければできないと思うのだが…。

音楽は宇野誠一郎なので、これも抜かりはない。どれをとってもいい曲。「びっくりしたニャン」を繰り返す主題歌は聞いたらすぐに思い出した。名曲だ。声をあてているのは、石川進熊倉一雄藤田淑子ほかの豪華なメンバーでこれもすばらしいが、中でも魔王役の小池朝雄が非常にいい。この怖さとまぬけさがちゃんと入り混じったうまさはこの人でないと出ないだろう。

東映動画の初期の作品はさすがにどれも気合の入り方が違うわ。この前に見た「空飛ぶゆうれい船」にしても、作り込んであっておもしろさが色褪せない。