フランソワ=グザヴィエ・ロト、南西ドイツ放送交響楽団、萩原麻未、ラヴェル、ピアノ協奏曲、

ヴェーベルン:夏の風の中で-大オーケストラのための牧歌

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
    <ピアノ:萩原麻未

ベートーヴェン交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55≪英雄≫


フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮、南西ドイツ放送交響楽団ALSOKホール、2012.2.18


このコンサートは全国巡回中なのだが、プログラムがヴァイオリンのもの(神尾真由子)とピアノのものがあり、広島に来たのはピアノの方。萩原麻未は、広島出身の人なので凱旋公演のようなもの。

ヴェーベルンの曲はてっきり無調の作品かと思ったら、これは初期の、無蝶になる前の時期のもので。露骨にロマン派っぽいもの。オーケストラの濃いハーモニーががしがし鳴っていて、けっこう聴きやすい曲。

ラヴェルの協奏曲をひいた萩原麻未は、ジュネーブ国際コンクールで1位をとった人。とにかくテクニック自慢という感じで、がんがん弾きこなす人。アンコールの曲もテクニックを見せるためのもの。背は高く、顔はかわいいので、けっこうファンはつくかもしれない。CDはまだ出していないようだが、代わりにコンクールの様子を録画したDVDを売っていた。

そしてベートーヴェンの3番だが、速いテンポ、音を短く切ったり、ふつうは強奏するところをいちいち弱くしたりする、室内楽っぽいベートーヴェン。第1楽章はちょっとついていけなかったが、第2楽章、第3楽章は、こういう演奏があっているかもしれないと感じた。しかし第4楽章は弦楽器がこの楽章の主題を演奏するところで、各パートの首席だけが弾いていておどろく。こんな版の楽譜があるのか?ちょっとやりすぎてる感じで引いた。あえていうとガーディナーっぽいところもあるが、それよりもずっと室内楽っぽいところを前面に出したスタイル。

昔の演奏スタイルに慣れている自分には、これはちょっと受け入れにくいが、第3番は何度も聴いているのだから、たまに聴くぶんには、変わったやり方でもいいかという気になってきた。こういうのがいまのはやりなのかなあ。

フランソワ=グザヴィエ・ロトは、2011年のシーズンから、このオーケストラの首席指揮者。71年フランス生まれということなので、見た目よりけっこう若い。古楽器室内楽団を組織しているそうなので、今日のような演奏にもなじんでいるのだろう。アンコールは、モーツァルトフィガロの結婚」序曲で、これは室内楽っぽいスタイルがちょうどよく合っている曲だった。