十戒

十戒」、チャールトン・ヘストンユル・ブリンナーほか出演、セシル・B・デミル監督、アメリカ、1956

今日の昼にスカパーの「ザ・シネマ」でやっていたのでついつい見てしまった。長いからやめておこうと思っていたのに、ちょっと最初の方だけ、と思っていたらだらだらと全部見てしまうことに。これ、もう7回か8回くらい見ているだろう。ほとんどの場面は覚えているのに、また見てしまう。それくらいこれはおもしろい。

今日見ていると、始まって1時間でモーゼがエジプトを追われ、1時間30分くらいで神の啓示を受ける。これで全体の半分。その後はエジプトに災いをもたらして民を解放し、ついにシナイ山の上で十戒を授かる。特に後半部はかなり話の継ぎ目を端折っているが、それが許されるのは、観客には聖書の話が完全に周知のものという前提があるからなのね。

特撮部分はアニメと実写の合成で、いまの技術レベルではどうということはないが、それでも安っぽい感じはまったくしない。この映画をはじめて見たのは中学校の集団鑑賞(ミッションスクールだった)だが、まったく違和感なく、「紅海はこんな風に割れたのか」と素直に驚いていた記憶がある。今見ても、海に呑まれるファラオの軍勢がとても細かく描かれていていろいろと感心。エジプト側の最後尾にいる戦車は、水が押し寄せてきた時に後ろに戻ろうとしているところを呑まれているのね。水の中であがく馬や兵士もちゃんと描かれている。CG使わなくても、細かいところをていねいにつくれば十分リアリティは出るものなのだ。

それにヘストン、ブリンナーの両雄だけでなく、ジョン・キャラダイン(アロン)、イボンヌ・デ・カーロ(セフォラ=モーゼの妻)、エドワード・G・ロビンソン(デーサン=ヘブライ人の奴隷監督、最後に偶像崇拝への神罰で滅びる)、ヘンリー・ウィルコクソン(エジプト軍の指揮官、ファラオの片腕)らの脇役がいい芝居をしまくっている。これだけの名作なら、ハズレのキャストはいなくて当然だが、みな味を出している。ひとりひとりのキャラが立っている。

今日見た版では、日本語字幕が「ラメス」となっていたが、ここはどう考えても「ラムセス」「ラメセス」となっていなければおかしくないか?最近表記の習慣が変わったのだろうか。ここだけ引っかかった。

3時間の映画でも間延びはまったくなし。大作はこうでなくては。