ディープピープル スーパー指揮者

ディープピープル」 「スーパー指揮者」、NHK、2011.8.19

この前終わってしまったNHKディープピープル。終わりの方は時間がなくて挫折。DVDに落としただけになってしまったが、これはだいぶ前の放送の再放送を録画してそのままレコーダーに残しておいたもの。この回だけは必ず見なければと思っていたので、根性で見た。タイトルの「スーパー指揮者」って、ちょっと変だ。オーケストラの指揮者は指揮者でいるだけで十分スーパーだ。国内のプロオケは30に足りないし。外国のものすごいマエストロとか、小澤征爾でも連れてきていればたしかに「スーパー」だが。

出演は、小林研一郎広上淳一下野竜也。小林が71歳、広上が53歳、下野が41歳ということなので、ちゃんと各世代の指揮者を集めてきている。小林と広上は下野を「君」と呼び、コバケンは「先生」と呼ばれ、広上は「さん」づけで呼ばれている。

まずリハーサルのしかた。コバケンはオーケストラにやたらていねいな言葉遣いをしている。まあ話す調子はガンガンしゃべっている感じだが。おまけによくうなっている。奥歯がすりへるくらいうなっている感じ。広上はにこにこしてオケとコミュニケーションをとっている。オケがノるようにもっていく感じ。下野はジェスチャー混じりでオケに一生懸命訴えかけている。

次は指揮棒。コバケンの指揮棒は指揮台に当たって折れてしまった物をわざわざ継いで使っている。広上は複数、下野は一本。広上は一時期は棒を持たずに振っていた時期もあったと言っている。

その次は開演前のリラックス法。コバケンは裸になる(笑。それから体操。広上は開演5分前になってから着替え。それからお茶を一杯。下野は開演ぎりぎりまで楽譜を読んでいる。そうしている方が落ち着くそうだ。

コバケンは美空ひばりが好きだと言っている。広上はカラオケ好きで演歌もAKBもやると言っている。下野はクラシック以外は聞かないらしい。

「究極のベートーヴェン演奏」についての部分。コバケンは「自分たちは本当のベートーヴェン演奏を聴いたことがない。だから、力を尽くしてそれを探すのだと言う。その後に、東フィルを練習台にして、三人がベートーヴェン交響曲第九番」第一楽章の終わりのところを演奏。まあ、ちょっとずつ違う。スタジオの関根は違いがわからないというが、そりゃそうだろう。ほとんど聞いたことがない曲の演奏の違いがわかったらたいへん。三人の指揮するVを出して、演奏の特徴を中村アナウンサーが説明。テンポ、楽譜通りに演奏しているかどうかなどなど。

コバケンは楽譜にない休止を入れて演奏しているが、下野によるとそれはマーラーもやったことだとのこと。そこの休止は演奏によってけっこう入っている時があるのだが、わたしはタメを入れるのは力が入りすぎているような気がしてあまり好きではない。

下野は指揮者に必要な資質は「打たれ強いこと、あきらめないこと」と言っていて、それには非常に納得。指揮者なんて、えらくなる前には楽器の演奏家以上に、ガンガン打たれているだろうし、えらくなったら自分で自分を打っているのだからそれはたいへんだ。

やはりこの回は見てよかった。「ヒーロー声優」の回も見たかったので、DVDを出してくるか。