NHKスペシャル 日野原重明 100歳 いのちのメッセージ

NHKスペシャル」 「日野原重明 100歳 いのちのメッセージ」、NHK、2011.10.8

これは先週の土曜日にやっていた、NHKの日野原先生100歳記念番組。

日野原先生、いったいいつまで生きているのかと思っていたら、この10月4日で100歳になられたとのことで、この番組は日野原先生のご生誕100年をお祝いしましょうというもの。生い立ちから、これまでの人生、現在の活動、奥さんの介護など、内容盛りだくさん。しかも、昔のエピソードは実際に俳優が出てきて再現ドラマ仕立てになっており、わたしは「テレビ三面記事 ウィークエンダー」を思い出した。

とにかくめちゃめちゃ元気な日野原先生、検査を受けて検査医から「筋力が落ちていますね」と言われる。ここでも大仰なナレーションがかぶっているのだが、100歳になる人が3年前に比べて筋力が落ちたって、そりゃあたりまえだろう。しかし日野原先生は、筋力回復のために運動を始めるのである。まあこの辺が怠惰な凡人と先生の違いか。

食事は朝からジュースにオリーブ油を入れて飲んでいる。そんなのおいしいのか??と思うが、それで健康なのだからからだに悪くはないのだろう。しばらくオリーブ油がよく売れるかもしれない。

奥さんは91歳だが、もう10年くらい認知症で完全にボケている。しかも当然ほかの病気も併発。そんな年でまだ生きているのがめずらしいが、とにかく日野原先生の介護はまめ。まあ若いときには、日野原先生の仕事をずっと陰で支えてきたそうなので、愛情もひとしおなのだろうが、下々の家庭によくある介護老人の虐待なんてことからはまったく無縁。

中学校での「いのちの授業」、広島市の皆実小学校だ。テレビカメラも取材の記者も入っているのだが、学校の先生も勢揃い。「命があるということは使える時間があるということだから、その時間を自分のためだけでなく人のためにも使いなさい」というありがたいお話。小坊どもには通じていたのだろうか。

日野原先生が診察すると患者がとたんに元気になっていて(原因が先生が現れたからなのか、テレビカメラが来ているからなのかは不明)、下手な投薬などよりはよっぽど効いていそうな感じだ。だいたい日野原先生自身がインフルエンザで高熱を出していてもサクッと回復。新型インフルエンザも日野原先生にダメージを与えることはできそうもない。

奥さんの誕生日には、先生や家族、知り合いが病室に集まって「いつくしみふかき」を歌っている。

「人のために生きるのが自分のミッション」だという先生、もう生き仏、じゃなかった、聖人みたいだ。「自分が死ぬ時は感謝の言葉を口にできるようでありたい」とおっしゃっている。先生、ほんとに亡くなったら列福くらいされようかという勢いだ。

凡人がとにかく長生きしたいとムダな努力をするのに対して、日野原先生はとにかく献身あるのみ。儒教的な意味での聖人でもあるな。凡人はせこく寿命を延ばしても仕方ないのでさっさと死ぬべし。長生きは聖人にこそ認められるべき特権だ。