オペレーション・ワルキューレ

「オペレーション・ワルキューレ」、セバスチャン・コッホほか出演、ヨ・バイアー監督、ドイツ、2004

ワルキューレ」と同じヒトラー暗殺事件ネタ。制作はこちらの方が先。ドイツのテレビムービー。主役のシュタウフェンベルク大佐役は、「善き人のためのソナタ」のセバスチャン・コッホ。もちろんトム・クルーズのようなかっこよさはないが、これはこれで十分アリ。

ワルキューレ」と比べないわけにはいかないのだが、そんなにお金がかかっていない(たぶん)にしては作りはしっかりしていて、車両やセットにもチープなところはない。コッホ以外の俳優もかなりよく務めていると思う。あとは、シュタウフェンベルクの妻との交情をていねいに描いているところが違う点か。

そういうところでは悪い作品ではないが、自分としては後発の「ワルキューレ」の方がより楽しめたし出来もいいと思う。脚本の問題だと思うが、「ワルキューレ」に比べて話のテンポや緊張感において一歩譲る。こちらの方が時間として30分ほど短いせいもあるのだが、シュタウフェンベルク以外の登場人物の描き方がていねいでない。

こちらがあまり好きになれない一番の理由は、暗殺事件の悲劇性が強調されすぎて、過度に暗い作品になってしまっていること。まあ事件がドイツでどう受け止められているかを考えれば、悲劇にせざるを得ないのだが、「ワルキューレ」は最後は悲劇的でも、全体としては客を引きつけるサスペンスとしてよくできていた。こちらは、どうにも救いがない感じ。逆に、「ワルキューレ」がハリウッド的でイヤだと思う人にはこちらのほうが気に入るのかもしれない。いまのドイツで扱うとこういう感じになっちゃうのかなあ。とはいえ「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」のように全編これ陰惨というところからは免れている分、まだまし。