現代ポルノ伝 先天性淫婦

「現代ポルノ伝 先天性淫婦」、池玲子、サンドラ・ジュリアン、宮内洋ほか出演、鈴木則文監督、東映、1971

掛札昌裕鈴木則文コンビの、むちゃくちゃ映画。冒頭シーンで池玲子が修道女のコスプレでお祈りしている(ミッションスクールの高校生という設定)ところからすでにお笑い。池玲子は母親=三原葉子の淫蕩な血を受け継いで、どんどん淫靡な世界にはまっていく、というおはなしだが、ヤクザの小池朝雄の愛人になったり、建築家の宮内洋の恋人になって、サンドラ・ジュリアンと争奪戦をくりひろげたり、宮内洋の父親=遠藤辰雄に犯されて愛人にされたり、八面六臂の大活躍。

小池朝雄が羽振りのいいヤクザの幹部から、出入りのケガで落ちぶれて、もと子分の川谷拓三、志賀勝にいびられる場面はたのしい。宮内洋(フランス留学していたという設定)が怪しいフランス語でサンドラ・ジュリアンと学生運動の思い出を語る場面は、サンドラ・ジュリアンから学生運動のかすかな臭いすらぜんぜんしないことに苦笑。結局、池玲子以外の登場人物はほとんど死んでしまい、宮内洋も殺人でひっぱられ、池玲子ひとりがバーのママとして男を食いまくっていたのでしたという結末。

宮内、小池、遠藤以外にも、渡辺文雄とか、北村英三とか、ムダに配役が豪華。だいたいサンドラ・ジュリアンって、二番目にクレジットされている割には、宮内洋とちょっとからむだけで、何をしに出てきたのかよくわからない。

何をしても池玲子池玲子にしか見えない。まあ、この人にとっては、服はどうせ脱ぐんだから着ているだけムダという感じ。年齢を考えると当然ご存命だと思うが、どこでどうしていらっしゃることか。池玲子の前に池玲子なく、池玲子の後に池玲子なし。