オデッサ・ファイル

オデッサ・ファイル」、ジョン・ボイト、マクシミリアン・シェルほか出演、ロナルド・ニーム監督、イギリス、西ドイツ、1974

これはむかしむかし、子供の頃に劇場で見た。子供向きの映画ではないのに、ポスターだけ見て戦争映画と勘違いしていて連れて行ってくれるように親にせがんだのだ。結果は非常につまらなかったので失望して帰ってきた。まあ仕方がない。

それはそれとして、今見てみると、サスペンスとしてはそれなりによくできた映画。ジャーナリストのジョン・ボイトが、死んだユダヤ人の日記から、リガの強制収容所長だったロシュマン大尉(マクシミリアン・シェル)の追跡を始めるが、元SS隊員の秘密組織=オデッサの妨害と攻撃が執拗に追ってくるというおはなし。

ジョン・ボイトが地下鉄で後ろから突き落とされる場面は、子供心にもかなり怖かったので覚えているがけっこうな迫力。ユダヤ人の復讐組織の手を借りて、元SS隊員として組織に潜入するのだが、この映画はジョン・ボイトが若いときのものなので、変装がたいへんなのだが、そこもかなりていねいにやっている。生身の体に焼き印を押されるところはかなりきてる。

それから潜入に必要な鉄十字章を手に入れる場面。部屋中に展示された軍装品を見て、子供の頃は非常に興奮した。今のドイツにはもうナチ時代の制服や徽章を売る店はないのだろうか。日本にはなんちゃってのお店だからなー。

あとはマクシミリアン・シェルの最後の演説がなかなかよし。まあナチそのものですが。ここでのジョン・ボイトとマクシミリアン・シェルとのからみがいちばんキモになるところ。よくみると、シェルに殺されたジョン・ボイトの父親は剣付柏葉騎士十字章をつけている。英雄だ。事実がわかると急に態度が変わるシェルの演技も上手。考えてみると、ジョン・ボイトだけじゃなく、マクシミリアン・シェルもまだ存命なのだ。二人とも若い時から完成度高いな。