西の湯 呉市倉橋町室尾

「西の湯」、呉市倉橋町室尾11811

この銭湯が、8月20日で廃業するというので行ってきた。地図を見て見当はついていたが、とんでもなく遠い。倉橋島、それも倉橋町の端の方にある。こんなところに銭湯があるということだけでも驚くが(倉橋町には温泉施設があるので、外で風呂に入りたい人はふつうはそっちに行く)、料金が200円というので二度驚く。こんな場所にある銭湯なので、組合の支部はないから料金は自由に設定できるのだが、そんなお金では燃料代もろくに出ないだろう。

この銭湯を紹介していたNHKのローカル番組で言っていたが、客は1日10人くらいしかいないとのこと。90歳をこえるというおばあちゃんが番台にいて、この人のボケ防止のためにやっているようなものらしい。できたのは戦前。建物もとんでもなく古く、見たこともないようなホーロー看板の広告が出ている。

わたしは平日に行ったが、客が4人くらいいたのでおどろいた。10人のうち4人も来ていたのか。もちろん浴槽とカラン以外の設備は何もない。浴槽には木で出来たふたが半分閉じたままになっているので、2人くらいしか入れない。熱めかと思ったら、お湯はぬるめ。常連客の好みか、燃料節約のためかはわからない。

この銭湯は、集落の中でもけっこうわかりにくいところにあり、歩いている人に場所を聞いたのに、見つけるのに苦労した。町の人も場所だけは知っているが・・・という感じ。それはそうだろう。

脱衣場には張り紙がたくさんあって、ほとんどは俳句や川柳。これも番台のおばあちゃんの作らしい。その中にテレビ取材の告知があり、8月20日NHKのテレビクルーが取材に来て、放送がBSプレミアムで9月下旬にあるとのこと。覚えていたら見るかなあ。こういうことでもなければめったに来ない倉橋町に来たので、見るものすべてものめずらしかった。最後は番台から外をながめているおばあちゃんに手を振ってさようなら。