現代インチキ物語 騙し屋

「現代インチキ物語 騙し屋」、曽我廼家明蝶伊藤雄之助船越英二ほか出演、増村保造監督、大映、1964

曽我廼家明蝶伊藤雄之助船越英二、丸井太郎の四人の「騙し屋」に、仲間に入れてくれとつきまとう犬塚弘。すがすがしいほどインチキ臭いメンバーのおはなし。

本人らいわく、詐欺師ではなく騙し屋だというのだが、騙された人間が騙されたことを認識していなければ詐欺ではないというよくわからない理屈。沖縄から来た貧乏学生を装ってみたり、競馬で予想屋のまねごとをしたりして、せこく稼いでいる。そのうち地下に埋まっていた小判を騙り取ろうとしたり、まあやりたいほうだい。

そのうち犬塚弘自衛隊に入ったと言って、制服を着てやって来る。酔っぱらった四人は犬塚に餞別を渡すが、犬塚弘は貸衣装屋から、自衛隊の制服を延滞を理由にはぎとられてしまう。みごと四人をだましたということで犬塚は仲間入りを認められるが、渡した餞別は返してもらえないのでした。

昭和30年代の大阪の風景が全編映っていて、御堂筋を路面電車が走っていたり、新世界に映画館が林立している。変わらないのはかに道楽の看板ばかり。

原作は藤本義一。脚本は藤本本人が沢村勉と共同で書いている。登場人物の大阪弁はみな堂に入っていて、曽我廼家明蝶だけでなく、船越英二なんかが立て板に水を流すようにポンポン大阪弁を話しているので驚く。音楽を書いているのは山本直純。キャストもスタッフもそれなりに豪華で、中身もけっこうおもしろいのに、ソフトは発売されていないらしい。もったいないなー。