ディープピープル 時代劇をいろどる殺陣

ディープピープル」 「時代劇をいろどる殺陣」、NHK総合、2011.6.20

この回は殺陣師二人、大河ドラマの殺陣をずっと続けている林邦史朗、東映時代劇の殺陣師清家三彦、それから時代劇俳優松方弘樹の三人。

まず刀は当てないという話から。竹光でも当たり方によってはけっこうケガをすることがあり、刀が当たってしまってはキズやひびが入ってカメラに映せなくなるので、当てないようにしなければならないという。それから斬った後の姿勢=残心が大切だという。芝居ではそこが決めになるのだが、他の武道や茶道でも同じ考え方があって、相手を倒したらすぐに次の相手にそなえることが大事なのだとのこと。

殺陣師でも林と清家では考え方が違い、なるべくリアルに近づけることを考える林(実際にいろいろな武道を深くやっている)と型としてきれいで華麗な殺陣をつけることを考える清家ではやり方が違う。しかし、剣道をやっている俳優は多いが、武道家には殺陣はつけられないとのこと。武道と芝居は基本的には別だという。

松方は長い刀を使っているが、これも普通の刀に比べると使い方がむずかしいらしい。父親の近衛十四郎はさらに長い刀を使っていたそうだ。

実際の殺陣のつけ方を見せるために「東映剣会」の切られ役三人、木下通博福本清三、浜田隆広が出てきて、実際に清家、林、松方が殺陣をつける。清家は番傘を上手に使ってきれいにみせている。林は無刀取りのワザを使って、武術っぽくみせる。松方の時は、福本がちゃんと仰向けに倒れているので感心。

松方は去年の「十三人の刺客」に300人の敵役が揃ったが、その中で立ち回りを出来るのは5人だけだったという話をしていた。斬られ役も、主役に斬られることができるクラス、後ろで動いているだけのクラス、死んで倒れているだけのクラスといろいろランクがあるとのこと。殺陣は斬る方と斬られる方のチームワークなので、その呼吸が合わなければよい芝居はできないという話だった。

時代劇の制作本数が減っている今時、殺陣の水準を維持するのはたいへんだと実感。「十三人の刺客」は旧作をビデオに残してあるので今度見てみなければ。