ドキュメント20min 裸になれない心

「ドキュメント20min」 「裸になれない心」、NHK総合、2011.6.19

もとAV女優の穂花のドキュメンタリー。ディレクターは入局3年目の若い人で、たぶんこれが全国放送された最初の作品なのだろう。番組ではもとAV女優であり、去年自伝を出版したことは最初に言っている。本名の「愛」も出している。

子供の頃に入所していた施設に行くが、すでに建物は建て代わっていてあまり思い出は感じられないらしい。その後すでに廃校になった中学校へ。建物はそのまま残っているのでここではなつかしそうにしている。

本人は性的虐待を受けていた、昔の思い出を淡々と話しているが、ディレクターは聞いていてこちらがつらいと言っている。このへんのつくりは上手ではない。

いまの事務所に移籍してからついたマネージャーへのインタビューをとっているが、このマネージャー(女性)が自伝を書かせたのだそうだ。

穂花を施設から連れ出した男性の家をたずねていく。家はもうないらしいのだが、近所のお店の人は、穂花のことを覚えている。まあさすがにお店のおばさんは穂花の履歴は知らないので、にこにこしている。穂花は、自分のことを覚えてくれた人がいて、連れ出した男性のこともいい思い出だったらしい。

東京に戻ってから、穂花が鹿児島で母親に会っていたことを話す。これもウェットな感じはなく、ふっきった感じ。

穂花の自伝を読んでいないと、この短い番組ではなかなか伝わらないところがあると思う。編集も上手ではないし、ナレーションはディレクター自身がやっているので下手。しかし、穂花本人の姿はよく伝わっている。ナレーションで語られる昔のひどい経験と、吹っ切っている本人の語りの対比もいい。番組としての完成度を穂花の力で押し切っている感じ。