ふろたき大将

「花咲く少年の島より ふろたき大将」、石橋蓮、渡辺司、神田隆ほか出演、関川秀雄監督、東映、1955

広島市似島学園という児童養護施設を舞台にした映画。基本的に子供向き。50分足らずの中編である。昭和24年の話という設定になっている。似島学園は、いまは普通の養護施設だが、出来たときは原爆孤児のための施設だったから、その当時の話。のっけから原爆ドームの中で子供が遊んでいるのでびっくりした。考えてみれば、原爆ドームが史跡になって立ち入り禁止になるのはずっと後の話で、当時はただのがれきである。

主役の石橋蓮は、石橋蓮司の子役時代の名前。なんとなく面影があると言えばあるなあ。浮浪児でパンを盗んで生きていた石橋蓮らを先生(渡辺司)が助けて、学園に連れて行く。石橋蓮は字の読み書きも出来なければ数もろくに数えられないので、みんなにバカにされるのだが、先生にふろたき係をいいつけられ、その仕事をこなしていくうちに「ふろたき大将」と呼ばれるようになり、ほかの生徒たちにもそれなりに重んじられるようになる。

そのうちふろたき大将のことが新聞に出て、それをたよりに母親と巡り会うことができ、外で働けるようになる。ああよかったなあという話。

石橋蓮は浮浪児にしてはちょっとよい子すぎのような気もするが、子供用の映画だからこんなもんでしょう。それにしても似島学園はわたしは見たことがないのでわからないが(オールロケ)、広島市内の様子は、原爆ドーム以外はどこがどこだかまったくわからない。路面電車の後ろの景色もわからない。市内の様子をもっと映してくれればおもしろかったのに。それでも似島学園のようすを知っている人にはとても楽しめるだろう。

ちなみに音楽は伊福部昭