修羅雪姫 怨み恋歌

修羅雪姫 怨み恋歌」、梶芽衣子伊丹十三原田芳雄ほか出演、藤田敏八監督、東京映画、1974

おはなしは前作「修羅雪姫」のつづき(といっても、いつのまにやら日露戦争は終わっている。雪は相当年を取っていなければいけないはずだが・・・)。墓場でドスを振り回して男達を切り倒す梶芽衣子。ついでに警官隊も斬りまくる。こんなに殺していいのか?と思っていたら、とうとう裁判に掛けられ、三十数人殺しで当然死刑。ところが、処刑の日に護送されるところをへんな仮面をかぶった馬上の男達に助けられる。助けたのは、秘密警察「特警」の長官岸田森

岸田森の指令は、社会主義者伊丹十三の家に潜り込み、秘密書類を奪うこと。書類の中身は、司法大臣安部徹や岸田自身のスキャンダル。梶芽衣子はお手伝いとして伊丹十三の家に入り込むが、下手なやり方で書類をあさるので伊丹にあっさりと正体を見抜かれてしまう。伊丹に政府の陰謀のことを聞かされた梶芽衣子はあっという間に岸田を裏切り、伊丹十三の仲間になって書類を守ることに・・・。なんだかねぇ。

梶芽衣子は警察に追われ、四谷鮫河橋の貧民窟(はじめて知ったが、こんな町のまんなかが実際にスラムだったのだ)に医者として住んでいる、伊丹の弟、原田芳雄を訪ねていく。原田芳雄はまるっきり医者には見えないなあ。伊丹十三は警察に捕まり、ペスト菌を注射されて、貧民窟に送り込まれる。東京のまんなかに人間細菌爆弾を放り出すかね、ふつう。

原田は兄の病気を一目で見抜いて、隔離して面倒を見るが、伊丹十三はペストで真っ黒になって死んでしまう。原田芳雄もペストに感染。梶芽衣子は、書類を新聞社に売ることをネタにして、金と貧民窟の救済を岸田森に要求。

なんとかして書類を始末しなければいけないので、岸田森はびびる安部徹をせきたてて、貧民窟に放火し、町と貧民ごと書類を焼き払わせようとする。えらいことをするな・・・。橋の上でサーベルを振り回す岸田森がりりしいよ。

梶芽衣子は閉じ込められていた岸田森の屋敷から逃げだそうとして、まず山本麟一を斬り殺す。貧民窟はそっくり焼けていたが、原田芳雄はなぜか一人だけ生き残っている(書類つき)。岸田森と安部徹は海軍記念日に神社にお参り。そこに梶芽衣子原田芳雄が現れて、南原宏治、安部徹を警官隊もろとも斬殺。岸田森は「このきちがい犬めら」とピストルを向けるが、原田芳雄に命中させながら、自分もぐさっとやられてしまう。

「とどめを・・・」とうめく原田芳雄にドスを突き立てる梶芽衣子。あんた何人殺してるんですか・・・。

前作に比べてちょっとテイストは違うが、こっちも十分おもしろい。悪役が岸田森をはじめ、キャラ立ちしているのも勝因。こんなにおもしろいのに三作目が作られなかったのは、いまいち受けなかったから?パチンコの機械にもなっているらしいが、やっぱりそっちも血まみれなのだろうか。

梶芽衣子が可愛い顔で無表情にドスを振り回すのがとにかくさわやか。岸田森は、「あんたこそ狂鬼人間でしょ」といいたくなるような怪演ぶりでナイス。