羽織の大将

「羽織の大将」、フランキー堺加東大介、団令子ほか出演、千葉泰樹監督、東宝、1960

フランキー堺が落語家になるお話。落語家は桂文楽(8代目)、柳家金語楼桂小金治ほかいろいろと出てくる。

フランキー堺が落語を語る席は、「美寿々亭」という名前になっているが、モデルは人形町にあった「末広」という寄席だそうな。人形町に寄席があったのか。このころは今とは違い、落語に圧倒的な人気があった頃だから寄席もさぞかし多かっただろう。撮影は実際に「末広」を借りて行ったとのことだが、基本的には畳の桟敷で聞くような平屋建ての小屋。70人か80人くらいは入りそう。昭和43年に閉館したという。

話は、フランキー堺が大学生で桂文楽の落語に惚れ込んで、強引に弟子にしてくれとせがみ、文楽の弟子、五楽(加東大介)の弟子になる。あっという間に人気者になり、テレビやラジオにも出るようになるが、友達の選挙を手伝ったのが徒になり、選挙違反に連座して捕まってしまう。師匠の五楽が身柄を引き取ってくれるが、破門扱い。テレビやラジオにも出られなくなる。一人になったところで偶然会った兄弟子の小丸(桂小金治)と話し込むが結局けんかになり、別れたところで小丸は交通事故で死んでしまう。小丸の葬式に行ったフランキー堺はそこで悔やみに一席語り、師匠の許しをもらって落語家に復帰、というもの。

8代目文楽の語りが聞けるほか、当然ながらフランキー堺が落語をしゃべりたおしている。フランキー堺は、この映画がきっかけで実際に文楽の弟子になり、桂文昇の名前まで持っていたのだから、さすがに落語はうまい。あと、フランキー堺パトロン塩沢とき塩沢ときがふつうの役で出ているところを見たことがないので、これは新鮮だった。