追跡!A to Z 「ずっと家族がほしかった」

「追跡!A to Z」 「ずっと家族がほしかった ~親なき子たち 一年の記録~」、NHK、2010.1.8

あまり日頃は見ていないこのドキュメンタリー番組、NHKの番宣でちょっと興味を引かれたので見てしまった。いやこれは見ている方がうつになる話。

養護施設出身者が、お互いに援助し合うグループについてのプログラムが1年前に放送されたとのことで(こちらは見てない)この放送はその後日譚。母親から育児放棄され、ずっと養護施設で育てられた21歳の女性が主人公。

子供の頃の写真は施設で撮ってもらった6枚だけ。いじめ、登校拒否、自殺未遂で中学、高校を過ごして、22歳。施設にいたときに母親にもらったというぬいぐるみを大事にしている。

そこに、1年前に番組で取り上げられたことがきっかけで、実の母親から施設経由でメールが来た。このメールが絵文字がたくさん入った、ちょっとこれはどうよというようなもの。本人は、半分うれしく、半分は恨みがまじった複雑な気分らしい。まあそれはそうだろう。

で、神戸に住んでいるという母親との対面。カメラが入っているのは最初の部分だけで、3時間だったという対面のほとんどはわからないまま。しかし、母親の感情の入っていない馴れ馴れしい態度で、まともな人間ではないらしいということは推測がつく。

対面が終わった後、本人は最初なんでもない様子をしているが、対面の様子は話さない。二日後にやっと話し始めるが、母親からは「産みたくなかった」といわれたとのこと。本人はうつ状態になり、取材は中断。

二ヶ月後、取材は再開されたが、グループの仲間が本人を応援しているのはいいとして、とどめのように母親からは金の無心のメールが。さすがに本人は断っているが、これは驚いた。いくら施設で育ったのがつらいとはいえ、こんな親に育てられたらそれこそただではすまなかっただろう。本人は結婚することにしたそうで、それはおめでたいことだが、見ている側的にはかなり鬱になる話。

事実は小説よりも奇なり、と昔から言うが、下手なドラマよりも現実はこわい。