庚午湯

「庚午湯」、広島市西区庚午中4-9-14

西区は銭湯の数がけっこう多いところだが、ほとんどは天満川太田川放水路にはさまれた中州に集中していて、太田川放水路の西側には、この1軒しかない。もう1軒あったところは一昨年あたりにつぶれた。川の西側にあるのは、あと五日市にある「中央湯」だけ。

街の中心部から離れた銭湯は閉店が早いところが多いのだが、ここもそのひとつで21時15分閉店。たぶん21時にはのれんは下ろしているだろう。しかも場所もわかりにくく、住宅街の小道の奥にあって道の数を数えていないと簡単に迷ってしまいそう。

浴室や脱衣室をみると、それほど古い印象は受けない。1970年代後半以後に改装されているかもしれない。カランは12個ほどで、ほどほどに少ない。浴槽は、「高温風呂」「中温風呂」と書いた札が貼ってあるのだが、入ってもぜんぜん温度が違わないのはご愛敬。たぶんむかしは違っていたのだろう。

「高温風呂」の方のお湯は、ちょっと高いところの湯出口から出てきていて、「麦飯石温泉」という麗々しい効能書きがかかっている。中国の神秘がどうのこうのという内容。客が気に留めているかどうかは知らないが、この銭湯も高いお金を払って買わされたのかもしれない。

「中温風呂」の方は、ジェットバスと電気風呂がついている。電気風呂は電流が弱めなのでとてもありがたい。「高温」の方と同じくそんなに熱くないのでゆっくり入っていられるので、電流の刺激をゆっくり味わえる。

そして、この銭湯は、サウナの設備がないのに「水風呂」がある。たぶん、「高温風呂」が本当に高温だった最初の時に、からだを冷ますために設けたのだろう。この「水風呂」は25度くらいはありそうなぬるま湯で、あんまり熱くないほかの浴槽に長く入った後でこちらに入るとちょうどいい感じなのである。「水風呂」と他の浴槽を往復していると、かなり長湯ができる。

サッカーの日韓戦をやっていた時間帯で、番台のおばちゃんはずっとテレビに釘付けになっていた。こちらは30分ほど入って退散。帰りの風も生ぬるくて、ちょうどいい感じで帰れてよかった。