風速七十五米

「風速七十五米」、田宮二郎宇津井健、叶順子ほか出演、田中重雄監督、大映、1963

もし東京に風速75メートルの台風が来たらたいへんです、というパニック映画かとおもいきや、その部分は映画が終わるところの最後の15分くらいで、後は建設会社同士の抗争と陰謀のおはなし。

宇津井健は正義の新聞記者で、猛烈な台風が東京に来たら、そこらじゅうにあるネオン管がたいへんな災害の元になる、と言い続けている。まあ、そうかもしれないが、ネオン管以外に心配することはいっぱいあるような気がするが・・・。

お話は会社のネオンサインをつくることについての叶順子の父親の会社が、田宮二郎が手先になっているライバル会社に嫌がらせをやられまくり、社長は殺し屋の高松英郎に殺されてしまう。真相を探らんとする宇津井健はとうとう田宮二郎と対決するが、風速七十五米の台風は刻々と迫ってきて・・・というお話。

最後、高波が銀座をのみこむ場面はけっこうな迫力。不二家のペコちゃんのサインも濁流に呑まれてしまい、街全体が台風にのみ込まれている。まだ都電が銀座を走っている時代なので、都電の看板が吹き飛んだり、まあたいへん。

せっかくここにお金を投入しているのに、そこまでの建設会社の抗争劇があまりにどうでもいいのでがっくり。というか、このちんたらしたお話では台風まで間が持たないのだ。日本映画専門チャンネルの「大映特撮の挑戦状」という企画シリーズで見たのだが、うーん、これでは東宝には勝てないねぇ。特撮シーンはよくできているのに、もったいない。