大いなる西部

「大いなる西部」、グレゴリー・ペックジーン・シモンズ、バール・アイブズほか出演、ウィリアム・ワイラー監督、アメリカ、1958

NHKBSハイビジョンが、今週、西部劇特集なので見てしまった。これも前に見てから10年どころじゃないと思うが・・・。

この映画はタイトルバックが圧倒的にかっこいい。駅馬車の車輪が回っているところに音楽がかぶるのだが、この場面だけでもう客の心をわしづかみである。たしかこのテーマ曲は、古い昔、関西地方のテレビ局でニュース番組のテーマ曲に使われていて、この曲を聴くためだけにそのニュースを見ていた。一番最初に買った、映画音楽のサントラ盤はエルマー・バーンスタインの「大脱走」だったが、二番目がジェローム・モロスのこれだった。何度聞いても名曲。

グレゴリー・ペックの役は半ばイヤミっぽいが、まあそういう役だし。このイヤミさとモテモテなのががたたって、チャールトン・ヘストンやら、チャック・コナーズやら、みんなに喧嘩をふっかけられてボコボコにされるが、最後に立っているのは結局ペック様である。まあ、自分でプロデュースした映画だから、当然ですが。

ジーン・シモンズは、この映画と「ハムレット」、「スパルタカス」で覚えているが、美人、清楚、気品があって、文句をつけるところがない女優だった。きれいだけど派手派手しくないところもよかった。この人は亡くなったのが今年の1月である。1929年生まれなので、そういうお年だったのだ。この映画の主要な役者で存命だったのはこの人が最後だろう。ウィノナ・ライダーが出ていた「キルトに綴る愛」にもおばあさん役で出ていたから、女優としてはけっこう長く活動していたのである。

あとは、バール・アイブズとチャック・コナーズが親子役で出ていることか。バール・アイブズは、この映画で唯一オスカーを取っていて、そのとおり強烈な存在感。逆にチャック・コナーズは、チンピラ丸出しの小人物だがいい芝居をしている。ペック様が最初についている少佐一家よりも、敵になるこっちのヘネシー一家の方が好感度が高いのだ。そういえばチャック・コナーズは、「復活の日」にも潜水艦の艦長役でなにげに出ていたのである。

せっかくのハイビジョン放送だったのに録画には失敗。これが心残り。