復活の日

復活の日」、草刈正雄、ボー・スベンソン、オリビア・ハッセーほか出演、深作欣二監督、角川春樹事務所、TBS、1980

話には聞いていた「復活の日」だが、チャンネルNECOでやってくれたのでようやく見た。おもしろいよ!これは。

アメリカが極秘で開発していた生物兵器が事故で漏れ出し、あっというまに世界全滅。この兵器、おそろしいことに人間だけではなく、脊椎動物全部やられるらしい。SF界の超兵器は遺伝子の違いなどものともしないそうだ。世界全滅の過程は、日本とかがとびとびで描かれるくらいだが、ミイラ化した死体がそこらじゅうにころがっていて(なぜ白骨化しない?)、自衛隊が死体の山を火炎放射器で焼きまくったり、いろいろやっている。

生物兵器は低温だと活動できないそうで、南極にいた人間と流行前に出港していたイギリスの原潜乗組員だけ生き残る。ところが、海底油田のおかげで地震が起こり、それが引き金になって米ソが自動システムで核戦争をはじめることになっていることが判明、草刈正雄とボー・スベンソンが潜水艦に乗って決死隊として、システムをキャンセルするためにアメリカに向かう。

ところがそこへ地震が来てボー・スベンソンは死んでしまい、草刈正雄もぎりぎりのところでスイッチを切り損ねる。ミサイル全弾発射、世界はまた壊滅。ミサイルは南極基地へも飛んでいくので、南極に残った人もアウト。さて草刈正雄は・・・というような話が2時間半続く。

まあ、いろいろむちゃくちゃな話だけど、腕力で乗り切っておもしろくしている感じ。腕力の中心は豪華なキャスト、本物の南極、本物の潜水艦、「それはないでしょ」という感じを押さえつけてしまうような脚本といったところか。草刈正雄は英語がてんでしゃべれなかったのに台詞を全部丸暗記したという話があるそうだが、ほんと?まあ、そのくらいのことがあっても不思議ではない感じ。

日本人のキャストも草刈ほか、緒形拳渡瀬恒彦千葉真一、多岐川裕美ほか、ちょい役でもガンガン使っている。そして、外国人キャストがいいわー。アメリカ大統領と上院議員グレン・フォードロバート・ボーンは特に良し。アメリカのキチガイ軍人役の人も非常にいい感じ。

草刈正雄が、核戦争で壊滅した南北アメリカ大陸をドロンズと逆コースでひとり歩き回る場面は、砂の器にも匹敵する道行の場面。谷啓のあとがまで、毎週美術鑑賞している趣味のイイおじさんも、昔は生魚を抱え、なぜかマチュピチュをも訪問する(なんでそういうけわしいコースを?という疑問はなし)やんちゃなヒーローだったのだ。

深作欣二はえらいが、この映画に金を25億円使ったという角川春樹もエライ。ケチじゃないプロデューサーが日本にもいてよかった。