王になろうとした男

王になろうとした男」、ショーン・コネリーマイケル・ケインほか出演、ジョン・ヒューストン監督、アメリカ、1975

これはとてもひさしぶりに見た。ずいぶん前に一度見たきりである。覚えていたのは、「血が白くない者は神ではない」という台詞だと思っていたが、その部分を見ても「血が白い」云々とは言っていないようだ。

元軍人で今は山師のショーン・コネリーマイケル・ケインが、ヒマラヤの奥地、秘境カフィリスタンに行き、王となり財宝をかすめとろうというとんでもない計画をたてる。わずかな銃とグルカ兵一人を従者として、カフィリスタンにやっとたどり着く。原住民を訓練して軍隊を作り、周囲を征服していくのだが、そうしていくと、大昔のアレクサンダー大王伝説が出てきて、二人はアレクサンダーの息子では?という話になってくる。

僧たちが二人を捕まえて、証拠を見せろと迫るのだが、ショーン・コネリーがつけていたペンダントにフリーメーソンの印があり、それが宝箱の印と同じだったことで、僧たちはショーン・コネリーが本物のアレクサンダーの息子で神だと信じ込む。

ショーン・コネリーは、この話に乗っかってカフィリスタンの王として永住しようとするのだが、マイケル・ケインは、財宝だけ持ってさっさとインドに帰ろうとしきりにうながす。ここで帰っていればいいのだが、ショーン・コネリーはすっかりその気で、原住民の美人の娘を妃にするので結婚式まで残れという。

さて結婚式の当日、花嫁にキスするショーン・コネリーは、おびえる花嫁に頬を噛まれてしまう。頬から流れる血を見た僧は、「血を流す者は神ではない」と言いだし、すべては水の泡に。

従者のグルカ兵が、ラバで逃げることを勧められながら「グルカは歩兵です」と言って死んでいくところがかっこいい。そして群衆に捕まったショーン・コネリーが、吊り橋から落とされようとする時に歌うイギリスの軍歌が最高にかっこいい。

秘境、冒険、栄光と挫折と、おもしろい素材がぎっしりつまっていて、あきさせない佳作。主役の二人はうさんくさいところも含めて最高の演技。