二十一世紀音頭 佐良直美

「二十一世紀音頭」、作詞:山上路夫、作曲:いずみたく、編曲:大柿隆、歌:佐良直美

ひょんなことで、人と話していたときに「そういえば二十一世紀音頭ってあったよね」という話になり、けっこう盛り上がってしまった。そこで、どうしても曲を聴いてみたくなり、探してみるとあったあった。動画サイトがあると、なんでも転がっているのだ。

で、この歌の歌詞だが、二番が

「これから 31年たって この世はどうなっているの


火星に金星 遠くの星に


旅行にでかけているでしょう」

とあって、そういえばこの曲が発売されたのが1970年だったのだ。わたしが聞いたのはその何年も後で、歌詞の「31年」の部分は変えられ、歌手も佐良直美ではなかった。火星や金星云々の部分は当然、1969年のアポロ11号月着陸を踏まえているのだが、子供の頃は、21世紀になれば火星や金星くらい到達してあたりまえだと思っており、2010年になっても火星到達はおろか月基地すらできていないなどとは夢にも思っていなかった。

21世紀についてはいろいろ想像していたが、子供の妄想は見当違いなことばかりで(もちろん元ネタの大人の想像もハズレばっかりだったのだが)、車はみんな空を飛んでいるとか、鉄道がチューブの中を走っているとか、そんなのばっかりだった。実際、動物園とかデパート屋上遊園地(もはやこの存在自体が消えかかっている)の遊具にはたいてい「エアカー」というものがあった。

発達が情報通信の方向に行くという発想がぜんぜんなかったから、経済、社会の変化も外縁的なことばかり考えていたのだ。しかし、いま、40年後の社会がどうなっているかを想像しても、やはりハズレばっかりだろう。「長期においてはわれわれはみな死んでいる」というケインズ大先生のおことばは含蓄が深い。