ヨーロッパ企画 サーフィンUSB

「サーフィンUSB」、石田剛太、酒井善史ほか出演、作、演出、上田誠ヨーロッパ企画第29回公演、アステールプラザ大ホール、2010.8.31

ヨーロッパ企画の今年の公演がこれ。チケットはかなり前に確保したのだが、いろいろあって、行けるかどうかあぶないところだった。よかった。

舞台装置はかなり凝ったもので、工場の廃墟のようなものがそびえたち、背景にも廃墟のような建物。前には見えないが、海が来ているという設定。役者はドブンドブンと飛び降りている。この変なセット、続きの公演ならともかく今夜一晩のために組むのだから(一回公演は広島と名古屋だけ)、ぜーたくなことである。

芝居は、「水の7年間」で廃墟になった町では海がすぐ近くまで来ていて、そこで人々は毎日サーフィンに明け暮れている。町の向こうには「アキハバレー」というドーム都市があり、そこで、お金持ちの人々はネットに興じているという世界。

そこにビジネスマンがやってきて、「サーフィンUSB」という新しいボードを持ってくる。そのボードでサーフィンをすると、サーフィンの様子が全部記録され、それをサーバにアップロードするとアクセスした人にサーフィンの疑似体験ができるようになり、ダウンロード1回につき1円がサーファーに入ってくる。最初は「そんなのサーファーじゃない」とぶつぶつ言っていたサーファー達も、いつのまにか必死でダウンロード数を競うようになってしまって・・・というようなお話。

途中まではけっこうたるい展開だが、サーフィンUSBが出てきてからはやたら話が早く展開するようになり、上演時間が短い(90分もない)のもてつだって、けっこう見やすかった。というか、サーフィンを楽しんでいたサーファーがいつのまにかダウンロード数を増やすために必死になっていくというお話は、こういうブログを書いていると身につまされて乾いた笑いが・・・。

まあ、サーフィンボードの先端を外すとでかいUSBのソケットがついているところと、人魚のひれの部分を外すと、それも同じUSBソケットになっているというところが一番笑えた。ちょっと盛り上がりには欠けるような気がするが、これもまあアリか。