バレンシア州立歌劇場 ジークフリート

ワーグナー    楽劇「ジークフリート


   ランス・ライアン(ジークフリート
   ゲルハルト・ジーゲル(ミーメ)
   ジェニファー・ウィルソン(ブリュンヒルデ)ほか、

   ズービン・メータ指揮、バレンシア州立歌劇場管弦楽団、2009


クラシカジャパンで、前半2作だけかかっていたバレンシア歌劇場の「指環」、今月になってやっと後半の2作「ジークフリート」、「神々の黄昏」を前半2作ともども放送したので契約してみることにした。調べてみると、6月にDVDが全曲出ていた。しかし、全四部作をDVD7枚に入れているのでかなり圧縮しているようだ。ジークフリート全曲をDVD1枚に録画しようとすると画質が激しく悪くなるので今回はDVDに押し込むのはやめて、画質を上げたままハードディスクにおいておくことにした。ハードディスクの残りが少ないので痛いけど、結果的には正解だったと思う。非常におもしろかったのだ。

演出は前2作と同じ、舞台上に大きなスクリーンをおいて、そこにCG映像を流すというもの。しかし大蛇になったファフナーは、舞台上に機械仕掛けのロボットみたいなものをおいて節ごとにモーターで動かしていた。三幕のブリュンヒルデの岩場は、客席側に傾いた大きな金属製の円盤にブリュンヒルデが寝ていて、まわりに火が灯されている。この火の付いたたいまつは、2本ずつ人間が持ったままで舞台上を取り巻いている。この人たちは動かずにじっとしているのでたいへんだ。

演出はというわけで、そこそこおもしろく、飽きずに見られた。しかし本当にいいのは音楽。ジークフリートのランス・ライアンは、むちゃくちゃ声が出ている。ほんとのヘルデン・テノール。これだけでもすばらしいが、ミーメのゲルハルト・ジーゲル、ブリュンヒルデのジェニファー・ウィルソン、みなうまい。さすらい人、アルベリヒ、森の子鳥、ファフナー、エルダほかの役も全部はずれはない。

さらにいいのがメータとオーケストラ。非常によく鳴っているし、切り口の鋭い演奏。なんか聞いていておなかいっぱいになってしまった。ライブで見られた客は非常にハッピーだったろうと思う。保存価値大の名演で、HDDのスペースをケチらなくてよかった。