太陽の王子 ホルスの大冒険

「太陽の王子 ホルスの大冒険」、大方斐紗子市原悦子ほか出演、高畑勲演出、東映動画、1968

これも子供の頃に見たきりなので、何十年ぶりで見た映画。最後のグルンワルドとの戦いの場面と、ヒルダの歌などが断片的に記憶に残っていただけ。とはいえ、一度しか見ていない映画だったので、覚えていただけでもたいしたものだ。

子供の頃は、非常に恐い映画という印象が強かったのだが、それはこの映画の、「人間の敵はむしろ人間同士」という筋立てから来ていたのだろうと思う。特にヒルダが悪魔の妹という設定は、ヒルダが結局救われるとはいえ、子供心にはかなり怖かった。一応ハッピーエンドではあるが、全体的にとても雰囲気が暗いし。

いま見ると、いかにも左翼っぽい筋立てが時代を感じさせるのと、音楽のよさ(間宮邦生の音楽はどれも名曲)が際だっている。手法だけでなく、内容でもソ連あたりで上映されてもおかしくない感じ。また、音楽がかなり重要な比重を占めていて、ヒルダのキャラクターは半分くらいこの音楽でできあがっていると思う。

ヒルダが「命の珠」を失っても、何事もなさそうなのはちょっと不満がのこるところだが・・・。あと、当然と言えば当然だが、市原悦子の独特の声(いまなら、もっと少女っぽい声の女優があてられそう)と、平幹二郎の若い声がとても印象的。

子供の記憶を確認できてよかった。適度に短い上映時間もよし。