続々大番 怒濤編

「続々大番 怒濤編」、加東大介淡島千景仲代達矢ほか出演、千葉泰樹監督、東宝、1957

加東大介主演「大番」シリーズ3作目。前作でまたすってんてんになって故郷へ帰ったギューちゃんだが、そこに原節子平田昭彦の伯爵様ご夫妻がお戻りになる。ギューちゃんは、来客の相手役を仰せつかり、平田昭彦の不在で無聊を託っている原節子の話し相手に。とにかく感激で、まともに杯もとれないギューちゃん。しかし、このことで商売を捨てるわけにはいかないと発憤。

その後の小学校でのギューちゃんの演説は、なかなかの聞き物。説教にも自慢にもなっていて、それでいておもしろい。ギューちゃんは、事変の影響で田舎では綿製品の買いあさりが起こっていることに目を付け、いりこを大阪に持っていって売り、帰りに綿製品を買って帰って宇和島で売る闇屋商売をはじめることにする。闇屋は順調に利益が上がるが、大阪にやってきたおまきさんに「相場師が闇屋商売に落ちぶれてどうする」となじられ、やはり相場に戻ることに。

おりしも太平洋戦争が勃発。ギューちゃんは「この戦争は負け」と判断して売りまくるが、緒戦は連戦連勝で株は上がる一方。また大損したギューちゃんは、やむなくまた宇和島に引き上げることに。そして商売の相棒の新どんこと仲代達矢は兵役につくことになり、涙ながらに送られていく。

相場の展開はあまりないが、平田昭彦のかっこいい伯爵様(りりしい軍服姿でオープンカーを乗り回す)やら、原節子の実家での大宴会、ギューちゃんの演説、ヤミを警察に見つかったところでの巧みな言い抜けなど、それなりに見るところはある。このシリーズは4作で終わりなので、次回は敗戦後のギューちゃんと大団円があるはずなのだが、これがけっこうたのしみ。