月とチェリー

月とチェリー」、江口のりこ永岡佑柄本明ほか出演、タナダユキ監督、「ラブコレクション」製作委員会、2004

この前に見た廣木隆一「ガールフレンド」と同じ企画のシリーズ(ストーリーなどは関係なし)で作られた映画。性欲と恋愛の境目を扱っていて、けっこうおもしろかった。

2浪して大学に入ってきた永岡佑は、エロ小説の執筆サークルに入るのだが、そこに一人だけいる女子部員が江口のりこ。見た目ははっきりいってブサイクの部類だが、そのうち家に呼ばれていきなり寝ることになる。江口のりこは、実際に本を出しているエロ小説家で、童貞の描写に必要だったので、永岡佑を使っただけ。その後も永岡佑は、小説の材料にするため江口のりことやりまくることになるが、いきなりS嬢(内田春菊)とのプレイをやらされたりして、およそ恋愛関係にはならない。

そのうち永岡佑は、バイト先の女の子(平田弥里)と恋愛関係になってしまうが、こっちは絵に描いたようにウェットな関係を求めてきていて、永岡が江口のりこのことを口に出すこともよく思っていない。永岡佑は、そのうち江口のりこの方がよくなってきて、結局別れてしまう。

しばらく会っていなかった江口のりこに永岡はまた誘われて喜ぶのだが、今度は部屋にデリヘルのお姉さんを呼んで、永岡とデリヘルのお姉さんのセックスを江口が押し入れからのぞくというもの。永岡は精神的に耐えられなくなり、デリヘルのお姉さんとセックスしながら、江口のりこへの感情を告白するという妙なことに。さらにサークルの男達と話していたら、柄本明以外の全員が、江口の小説のネタにされるためにやっていたことが判明。永岡は相当がっくりするのだが、江口にそのことを訴えてものれんに腕押し。

その後江口のりこの小説は終わり、永岡との連絡も切れたと思ったところ、ひょいと現れて海に誘ってくる江口。しかし、それも「砂浜でやってみたい」というだけ。永岡佑はもはやあきらめていて、ネタの材料としての江口との関係が続くことを受け入れるようになっている。

江口のりこの不細工な容姿と、からっとしたキャラクターがとてもよい。脚本(これもタナダユキ)が、ドライとウェットの境目でウェットの方に落ちていないところもいいと思う。エロ映画なのだが、映画の雰囲気自体はほとんどエロくないところもマル。タナダユキの手口は非常にうまい。