女犯破戒

「女犯破戒」、田村高廣小川真由美ほか出演、工藤栄一監督、東映、1966

東映仕立ての「不知火検校」というところか。といっても、似ているところは悪坊主が成り上がるというところだけで、ほかは全然違うが。キャストはほかに、金子信雄大原麗子、大友柳太朗ほか、けっこういい。

田村高廣が役者の身で、武士の娘と心中して生き残り、非人の金子信雄に拾われた後で、寺に入る。その後色男の田村高廣は女に大もて。住職は、後から寺に潜り込んできた金子信雄が殺してしまい、田村は住職になる。後は、大奥の女達をひっぱりこんで、淫楽にふけり、さらにはそれを利用して大僧正に成り上がろうとする。

寺社奉行の大友柳太朗は、田村の正体を怪しみ、小川真由美をスパイとして送り込む。最後は田村の正体もばれて、寺に火がつけられ、田村と小川真由美は心中同様に灰になるというようなお話。

田村高廣は、確かにかっこいいが悪人としてはやや中途半端でいまいち。小川真由美が、はじめに田村高廣と心中した女と、寺社奉行のスパイの二役になっているが、これもアイディアとしてすべってる。田村高廣が住職の後釜に座るしかけもどうも納得いかないし、田村のキャラクターがきちんと決まっていないのは致命的。脚本は、下飯坂菊馬なのだが、この作品はハズレ。

それにしても台詞に非人とか河原者とかが頻出するのだが、この時代はそういうことに文句をつける人はいなかったのか。それに作中では明らかに非人、河原者は悪役扱いなので、よけいに問題になりそうな気がする。こういうことがいつからうるさく言われるようになったのか、調べている本があるといいのだが。