大脱走

大脱走」、スティーブ・マックイーンリチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ドナルドほか出演、ジョン・スタージェス監督、アメリカ、1963

これは子供の時に見て以来なので、むちゃくちゃひさしぶりに見た。昔もテレビで見ただけで劇場で見たことはないはずなのだが・・・。それにしては細部のことは、断片的にだが、とてもよく覚えていたので自分でも驚いた。子供の時に2,3回見ていたのだろうか。たしかサウンドトラック盤を買ってきて、一生懸命聴いていた記憶があるので、1回だけではないと思う。最近ではあまりテレビでかかってないのかもしれないが、昔は何度もテレビで上映されていたのだ。

改めて見てみると、構成が上手い。だいたい前半部のほとんどは脱走計画の検討と実際にトンネル掘りをしていく時の苦心にあてられる。主役級のキャストが多いのに、彼らのキャラがはっきりしているのは、ここでそれぞれのキャストの役割について、はっきりした性格付けがあるからだ。

1時間半たった時点で、最初のトンネルが監視兵に見つかってしまい、2時間たった時点でいよいよ脱走開始。残り1時間たらずが脱走した士官たちのその後の顛末にあてられる。逃げおおせたのは、チャールズ・ブロンソンともう一人が貨物船で密航、あとはジェームズ・コバーンがフランスのレジスタンスの助けで国境へ。あとは全部捕まってしまう。そしてほとんどは親衛隊に銃殺。収容所に連れ戻されたのは、スティーブ・マックイーンほかの数名だけ。

このあたりの必ずしもハッピーエンドになっていないところ(逆に言えば、ドイツ側がかなりの捕虜を捕まえてしまうところ)が、子供心に気に入っていたのだと思う。まあ子供の頃は枢軸側のファンで、戦争映画ではほとんど枢軸側がこてんこてんにやられてしまうのが悔しくてしかたなかったから・・・。

まあ、今見ると、マックイーンのバイクアクションの場面以外にも、ビッグX=アッテンボローが捕まる場面とか、ドナルド・プレザンスジェームズ・ガーナーが練習機を乗っ取ったものの結局燃料切れで墜落してしまう場面(ここはけっこう涙もの)とか、しぶい描写の場面がたくさんあって、どこも非常に楽しめる。

そしてなんといってもエルマー・バーンスタインの音楽。あえていえば、この映画で一番印象に残るのは、冒頭のタイトル場面、主題曲をバックに捕虜を乗せたドイツ軍の車列が収容所に向かうところである。3時間たらずだが、まったく退屈するところがない。やはり名作はできが違いますね。