ずべ公番長 夢は夜ひらく

「ずべ公番長 夢は夜ひらく」、大信田礼子宮園純子、梅宮辰夫ほか出演、山口和彦監督、東映、1970

この「ずべ公番長」はシリーズで4作つくられていて、その1本目。「女ネリカン」の異名をとる女子矯正施設「赤城学園」出身のずべ公たちが外の世界で暴れたあげく、結局警察のお世話になってまた学園に戻ってくる、というもの。

いちおう主役は大信田礼子ということになっているのだが、バーのママ役の宮園純子や施設の元生徒たち(夏純子、賀川雪絵、橘ますみ)らも比重の高い役で、特に最後の殴りこみの場面では、主役は宮園と梅宮辰夫である。ということで誰が主役なのかよくわからない。

話は、出所後、まともな職に就こうとして失敗した大信田礼子が、宮園が動かしている新宿のバー(ホステスは全員赤城の出身)で働くことになるが、金子信雄がボスのやくざから非道な仕打ちにあい、最後はやくざの事務所にもなっているパチンコ屋に襲撃をかけ、金子信雄はバッサリ。代わりに梅宮辰夫も死んでしまい、残った人々はまた赤城へ…というもの。

あまり大信田のキャラが立っていないこともあり、おもしろいかといわれると微妙なところ。ずべ公映画というよりはやくざ映画だし…。むしろ見るべきものは、製作当時の1970年の新宿の風景だろう。コマ劇場がなくなってあのあたりもだいぶ変わってしまうと思うが、コマ劇場前のまだ映画館がたくさんのこっていた風景や、早朝深夜の新宿のありさまがいろんなところで出てきて、これが映画のテイストになっている。

もちろん表題の「夢は夜ひらく」は、藤圭子の歌で、タイトルバックとエンディングできっちりかかっている(あまり映画の内容とは関係ないような気もするが)。エロ要素は少しだけあるが、たいしたことはない。