海底軍艦

海底軍艦」、高島忠夫、藤山陽子、田崎潤ほか出演、本多猪四郎監督、東宝、1963

これは以前原作を読んでいたのだが・・・ぜんぜん原作は関係ないですね。まあ原作は「ロシアをやっつけろ」という話だし、長いわりにちょっと大味だし、そのまま使えないのはやむを得ないのだが。

しかしこの改変(タイトルだけ同じで、話は完全に書き換えているのでもはや改変というレベルでもないが)は、「あり」。なんといっても、轟天号のものすごいスタイル(原作では、「電光艇」。ヴェルヌのパクリだろう。衝角つきの潜航艇で、空も飛ばない)で完全にノックアウトされた。マイティジャックのMJ号はこれからモチーフをとっていたのね。

発進シーンの注水と二重隔壁構造、空中に浮揚する場面、冷線砲(これでなんでもやってしまう)等々、細かい疑問を押しつぶして有無を言わせないだけの迫力がある。おまけに艦長の神宮司大佐。すばらしい。ある意味、原作の精神を受け継いでいるのは彼だけである。帝国反撃のために苦労して造った轟天号を、訳のわからない海底人ごときのためにむざむざ使わせられるか!轟天号は世界平和のためのおもちゃではないのである。この神宮司大佐の怪演だけで、田崎潤の名は永遠に残ると思う。

それに対して腹が立つのは、神宮司キチガイ呼ばわりする高島忠夫(しかもあっさり神宮司大佐の娘をもっていってしまうし)やら藤木悠やら。このへんの感じは「キンゴジ」からのゴジラシリーズに通じているものがあると思う。

で、ムウ帝国だが、強いのか弱いのかよくわからない。深度3600フィートのまだ下にある基地とそこまで潜航できる潜航艦やら、ムウ人が崇拝する巨竜マンダ、東京をいきなり陥没させられる驚異的な技術(どうやったの?)があって、これだけあれば世界征服なんか簡単だろうと思うが、轟天号が出てくると、とたんにグダグダになってしまい、何も出来ないまま滅亡。マンダも轟天号にまきつく以外何もしていないし・・・。心臓部の動力室がほとんど無防備になっていて、そこがつぶされるとあっという間に壊滅である。

思うに、この話、尺を短くするために話を切り詰めすぎていると思う。2時間半くらいで作ってもおかしくないだけのネタをどんどん詰め込んでいるので、特に轟天号とムウ帝国の戦いの部分があっさりしすぎている。ムウの女帝陛下が簡単に人質になってしまうのも安易だし・・・。もったいないと思うが、これはこれでいいか。

昔はやったらしい、テーマ曲につけられた歌詞がこれ。いい歌だなあ。

僕らの海底軍艦 轟天号 轟天号
空だって飛べるんだ 轟天号 轟天号
ドリルが回って とっても強いぞ 轟天号 轟天号
マンダなんか 怖くないぞ 轟天号 轟天号
キチガイ艦長 神宮寺 神宮寺
海底帝国 やっつけろ