ヒューマンドキュメンタリー 大竹しのぶ 50歳からの私

「ヒューマンドキュメンタリー」 「大竹しのぶ 50歳からの私」、NHK、2010.5.5

この番組はいつもは見ないのだが、大竹しのぶの回だとたまたま知って見ることに。EPGは便利だわ。

52歳ということだが、むちゃくちゃエネルギッシュな人である。2009年には舞台、映画で9本出たと言っていた。いつ休みをとっているのか?舞台は公演だけでも1ヶ月か3週間はかかるだろう。稽古も入れたらえらい時間だ。しかもその中には、一人舞台(あいのうた-フランチェスカ)、ミュージカル(グレイ・ガーデンズ)、上演に7時間半かかるシェークスピア劇(ヘンリー六世)といった、たいへんなエネルギーが必要な演目が入っているのである。

稽古の様子も放送していたが、納得できないところは止めて台本に、の繰り返し。完全集中である。大竹しのぶが出ているとなると、舞台でも映画でも主役かそれに近い役なので、手抜きはできないだろう。どこから力が出てくるのかふしぎ。

行きつけの寿司屋の女将との会話で、ある芝居で他の役者が声が涸れてしまったのに、大竹しのぶだけは最後まで大声を張り上げていたというエピソードが出てきて、そこで大竹が言った言葉が「赤ちゃんは毎日泣いても声が涸れない。無理に出そうとするのではなく、気持ちがそうなっているから声が出ている時は声は涸れない」というもの。役者魂のかたまりみたいな人である。

ほかのところでは、「心を解放してない人の芝居なんか誰も見たくないですよね」と言っていた。全部の出番でこれをやっているのだから、常人のおよぶところではない。大女優というのはこういうものかと、ただ驚くばかり。これから老けていく後がさらにたのしみな女優。おそるべしおそるべし。