海底二万哩

海底二万哩」、ジェームズ・メイソン、カーク・ダグラスポール・ルーカスほか出演、リチャード・フライシャー監督、アメリカ、1954

ヴェルヌ原作の小説の映画化。ポール・ルーカスの教授ほかが、沈没事件の真相を探りに軍艦で出航するところ。その軍艦は三本マストの小さな帆船である。昔、子供向けの本で見たときは、第二次大戦で活躍した巡洋艦のような船が挿絵にあったはず・・・。よく調べてみたら原作が書かれたのは1870年だから、そんな近代的な船が出てくるわけがない。だまされてた・・・。

考えてみれば、動力推進の潜水艦という概念が空想上の存在でしかなかった時期に、SFとして書かれたことに意味があったので、だからこそインパクトがあったのだ。で、この映画のノーチラス号だが、魚っぽいスタイルと、いかにもアンティークな感じのつくり。前世紀の空想上の潜水艦のイメージとしては、十分「アリ」で、けっこうかっこいい。しかし、船首部分の衝角があんなに細いと、船腹にぶつかったときに簡単に折れてしまいそうだが・・・。

話は途中までは原作通りだが、銛打ちのネッド(カーク・ダグラス)が根拠地の秘密島の位置をビンに紙を入れて外部に流したり、そこに謎の軍隊が攻めてきて、ネモが島を爆破したあげく、ノーチラス号を沈めて終わり、という部分はかなり書き換えられている。カーク・ダグラスは最悪な奴・・・。まあ、この話をコンパクトな映画にするには、こういう悲劇的な終わり方もよいのかもしれない。

そういえばこの映画には人喰い人種が襲ってくる場面があったはずだが、その部分がない。ディズニーチャンネルでの放送だったのでカットされちゃったのか?このチャンネルはこういうことをするので、あまり好きになれない。

それにしても、一昔前の海底冒険系のSFものは、みんなヴェルヌの原作をパクッたものばっかりだということに改めて気づかされる。やっぱりヴェルヌはえらすぎる。