ネオ・野毛ローマンス! Vol.2 横浜文学作品読み語り

「ネオ・野毛ローマンス! Vol.2 横浜文学読み語り」、高橋長英、野口英、志摩明子、入野智江出演、相生二郎演出、横浜にぎわい座、2010.3.31

なんだかわかりにくい題の会だが、要するに音楽つきの小説朗読会である。

この「横浜にぎわい座」という小屋は、JRの桜木町駅から山側に3分ほど歩いたところにあり、とても便利。いつもは落語と講談に使われているらしい。貼ってあるポスターやちらしを見ると、なかなか豪華な顔ぶれ。落語家はいろんなところでがんばっているらしい。

で、この公演だが、「野毛大道芸」という名前で長く続いているシリーズらしく、昔は芝居を上演していたらしい。それを復活させようという企画で、まずは小人数でできる朗読会からはじめようという話のようだ。朗読のネタとなる小説は三作。岩崎京子『街道茶屋 百年ばなし』「こがねのゆびわ」、山本周五郎『季節のない街』「街へゆく電車」、山本周五郎『季節のない街』「半助と猫」。これを志摩、野口、高橋の順で朗読し、それに入野の音楽がつく。

三作とも、横浜にゆかりのある作品ということで選ばれている。岩崎京子は、児童文学の人なので、この話もそういうもの。明治はじめの外国人居留地の話。山本周五郎は時代物、歴史物の人とかってに思っていたが、現代物の小説も書いていたのだ。二作目「街へゆく電車」は、黒澤明の「どですかでん」の原作である。三作目「半助と猫」は、長屋の住人と猫の生活に立つさざなみの話。山本周五郎の作品は場所を特に指定していないが、後で作家が横浜の八幡町から中村町と指定して写真を撮らせたとのこと。

朗読者は、いずれも練達の役者なので、うまい。特に高橋長英は、声が聞き取りやすい。そういえば高橋長英って、昔のドラマや映画でよく見ていたが、最近見てないのですっかり忘れていたのだが、まるっきり現役で、元気に芝居を続けていた人なのだった。役者は3人ともけっこうな年の人だが、年を経ることで出る味がしみじみと良かった。朗読会はあまりはやらないかもしれないが、一人でもできるのだし、もっといろんなところで行われていい催しだと思う。この会では、それぞれの30分以内に収まるように組まれていて、ちょうど聞きやすかった。