ハッピーフライト

ハッピーフライト」、田辺誠一時任三郎綾瀬はるかほか出演、矢口史靖監督、フジテレビ、アルタミラピクチャーズ東宝電通、2008

飛行機を動かす関係者の映画。むかし「大空港」「エアポート75」とか、航空パニックものがはやったころがあったが、そういう要素も一応取り入れつつ、ドラマチックな展開よりは、飛行機を飛ばす仕事はどういうもので、どんな人たちが関わっているのかを俯瞰的に眺めていくことに焦点があたっているおはなし。

こういう映画なので、いちおう副操縦士の機長昇格試験をストーリーの軸にしながら、客室乗務、地上の接客、運航管理、整備、管制などいろんな仕事の人たちがまんべんなく出てくる。それも客からは見えない、裏側の仕事の様子に焦点があたっていて、飛行機に興味がある人はおもしろく見られる。

制作には全日空が全面協力しているので、飛行機、整備場、運航管制室その他多くの場面は「本物」を使っている。よって、ちゃちな部分はない。脇役の役者も岸部一徳寺島しのぶ田畑智子ほか、上手な人がそろっているので、隙はない。

ということで、そこそこ楽しめるのだが、わたし的には、この映画を見る直前に、NHKでやっていた「ハイビジョン特集 羽田空港大百科 A to Z」を見てしまっていて、はっきりいって、そっちの方がおもしろいのである。当然NHKの方はドキュメンタリーなので、つくりはまったく違うのだが、純粋に飛行機やその周辺に関心がある人にとっては、余計なストーリーがついているより、飛行機や空港の仕事の詳細をていねいに描写してくれる方が、純粋に楽しめるのだ。

なんとなくああもったいないとは思いつつ、それでももう一回見るとしたらきっとNHKのドキュメンタリーに決まり、ということになってしまうのでした。